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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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ジョン・ウィック
d0030824_03080703.jpg『JOHN WICK』アメリカ・カナダ・中国/2014
監督:
チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーヴス ミカエル・ニクヴィスト
アルフィー・アレン エイドリアンヌ・パリッキ
ブリジット・モイナハン ディーン・ウィンタース
イアン・マクシェーン ジョン・レグイザモ
ウィレム・デフォー






公開時コピー
見惚れるほどの、復讐。

「マトリックス」などでスタントをつとめ、「エクスペンタブルズ2」の第2班撮影監督などの経歴を持つチャド・スタエルスキ監督のデビュー作。
出演は「47RONIN」のキアヌ・リーブス、「ミレニアム」シリーズのミカエル・ニクヴィスト、「ジョン・カーター」のウィレム・デフォーなど。
本作オリジナルのアクションとして、拳銃とロシア軍特殊部隊の格闘術システマなどを組み合わせた「ガン・フー」が使われている。

<あらすじ>
裏の社会の伝説的な元殺し屋ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)。引退後に結婚するも妻ヘレン(ブリジット・モイナハン)は病死する。葬式の直後、彼の元に届けられたのは妻からの最後の贈り物である子犬のデイジーだった。
ある日、ロシアの若い男ヨセフ(アルフィー・アレン)から愛車である69年式マスタングを売って欲しいと言われるが、ジョンは断る。
その夜、ジョンの自宅を襲撃したヨセフとその仲間はデイジーを殺し、車を奪っていく。大切なものを奪われたジョンは、復讐を決意する。



<総評>
キアヌ・リーヴスが久々にハードなアクションに主演…これだけでテンションあがります。やっぱりね、この人はアクションが似合う。顔付きが精悍だし、鍛えた時の動きのキレが素晴らしい。
本作ではスタント出身のスタエルスキ監督のこだわりによって新しいアクションが生み出されたのが、近距離銃撃戦とシステマと柔術などを組み合わせた新しいガン・フーです(ただし、ガン・フー自体は以前からある造語で、後述するガン=カタも含まれる)。
かつて「リベリオン」のカート・ウィマー監督がガン=カタというとんでもないアクション(むしろ武術)を創造し、作品のレベルをそれだけで傑作にしてしまいました。キアヌ演じるジョンの動きは独特で、銃の構え方から関節技を使い方まで、今まで見てきたアクションとは一線を画するものになっています。
さて、物語はとてもシンプルな復讐劇です。妻に先立たれ、挙げ句の果てに妻の最後の贈りものだった犬を殺された元殺し屋ジョン。とにかく、犯人をぶっ殺さなければ気が済まない…って、犬と車>マフィア、という復讐の動機が凄すぎます。
対するのは犯人であるロシアンマフィアのボスのバカ息子。その息子を守りたいボスはなんとしてもジョンを殺そうと画策するわけです。
アクションシーンが他のアクション映画と一目で違いが分かるほどに特徴的。腕を引き気味にして両手で銃を構え、必ず2発撃ち込むという徹底ぶりです。
格闘シーンも関節を決めたり、抑え込んだりしつつ、他の敵を撃つという、1対多数の戦いぶりが実にいい。近年の2丁拳銃飽和状態から脱却してますね。また、カーアクションもツボを抑えてます。
主演のキアヌは頬まで髭を伸ばした姿で、黒のスーツをバッチリと決めています。アクションの格好良さは健在。これはシリーズ化してもいいのでは。
しかし、髭面の姿はオフ時にも度々見られているし、鈴鹿8耐の時もそうだったなぁ(間近で見たけど、本当にイケメンでした)
敵役のミカエル・ニクヴィスト、どう見ても津川雅彦。なんか、一気に老けたイメージ。バカ息子を演じたアルフィー・アレンは軽薄な感じが良く出ていました。
そしてウィレム・デフォー、相変わらずインパクトが凄いです。
物語全体を通して、タイトルの通りにジョン・ウィックが主軸であり、ぶれることはありません。その為、敵役が弱く感じてしまうのが残念。
ツッコミどころも満載ですが、そんなのは一切無視して格好いいキアヌを楽しみましょう。

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by syosei7602 | 2015-10-24 23:59 | ハードボイルド/犯罪
009 RE:CYBORG
d0030824_03035165.jpg『009 RE:CYBORG』 日本/2012
監督:神山健治
声:宮野真守 小野大輔 斎藤千和 大川透 増岡太郎
吉野裕行 杉山紀彰 丹沢晃之 玉川砂記子 勝部演之








公開時コピー
終わらせなければ、
始まらない。


石ノ森章太郎による名作コミック「サイボーグ009」を「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」「東のエデン」の神山健治が3D映像により映画化。
脚本は神山監督が手がけ、ストーリーは原作に描かれた時代から27年後の現代となっている。
声は「劇場版 弱虫ペダル」の宮野真守、「宇宙戦艦ヤマト2199」の小野大輔、「物語」シリーズの斎藤千和など。
公開当時、人材派遣スタッフサービスと連動したアニメCM「正社員サイボーグ003」やペプシネックスとコラボした「PEPSI NEX×009 RE:CYBORG」が制作された。

<あらすじ>

かつて世界の危機を救ってきた00ナンバーのサイボーグ9人は、故郷に帰って生活していた。
2013年、各国の超高層ビルで爆破テロ事件が連続して発生、ギルモア博士からサイボーグたちに招集がかかる。
しかし、009の島村ジョーは記憶をリセットされ、高校生として生活していた。
テロの実行犯たちは「人類は一度やり直さなくてはならない」という「声」を聞いて、実行していた。ジョーもまた、その声を聞き、六本木ヒルズに爆弾を仕掛けようとするが003のフランソワーズと005のジェロニモによって記憶を戻され、事なきを得る。



<総評>

「009」といえば、記憶にあるのはアニメ第3期(2001~2002年)のラストと見たという記憶だけはある劇場版2作のみ。原作自体がすでに半世紀に届こうかという作品なのですが、石ノ森章太郎の作り出したキャラクターは仮面ライダーやキカイダー(というかハカイダー)などと、非常に強烈なインパクトを残しつつ、後生に残るというのは凄いことです。特に仮面ライダーは既にバッタからはかけ離れてますが…そういった流れから考えると本作は割と真っ当な続編でしょう。
本作のキャラクター達はリアル指向になってしまい、残念ながら石ノ森章太郎が描いたキャラクター造形からは離れてしまっています。とはいうものの、キャラクターの設定そのものが大きく変わったわけではなく、さらにストーリー自体も原作の第4期「神々との闘い編」や完結編として構想された第9期「Conclusion God's War」がベースになっているようです。
さて、物語は記憶を消された009がいきなりテロ活動!?という、魅力的な展開から始まります。サイボーグ達はそれぞれの人生を歩んでいる中で起きた連続テロとそれに関わる謎の声。
この謎の声を巡って戦いが始まるのですが、アクションよりもストーリー重視の展開になっており、さらに神山監督お得意の説明的かつ哲学的要素が含まれた台詞回し、原作にある009、002との関係(003を含めた三角関係は既に終わっているが…)をはずすこと無く描かれています。
明確な敵との戦いよりもサイボーグ戦士達そのものの物語という印象が強く、ラストもこれまたちょっと考えさせられます。
しかし、作品としての明確な意図みたいなものは伝わってくるため、実質的に「サイボーグ009」の世界観は大きく崩れてはいないですね。
キャラクター達、特に009と003の関係はなかなかディープ。
個人的にはやっぱり002でしょ!かっこよすぎです。
しかし、008の出番が…他のサイボーグ達はそれなりに活躍しているのに残念。まあ、008って深海活動能力だもんな…厳しいよな。
映像はCG主体になっているため、キャラクター達の描写が崩れることはないんですが、実はあんまり好きではないですね。なんか「人形」みたいな冷たい感じがします。
声優陣は実力派がそろっています。009シリーズは固定された声優があまりいないようで、そういえばこんな声だったような…という感じで、特に違和感を感じることはありません。
ストーリーとしてはなかなか、もう少しラストを詰めて欲しかったところかな。
「サイボーグ009VSデビルマン」が気になりますが…果たしていいんでしょうか。

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by syosei7602 | 2015-10-23 23:59 | アニメ/CG
アンフェア the end
d0030824_01355994.jpg『UNFAIR THE END』日本/2015
監督:
佐藤嗣麻子
出演:篠原涼子 永山絢斗 阿部サダヲ 加藤雅也
AKIRA (EXILE) 寺島進 佐藤浩市 吉田鋼太郎
向井地美音 丸山智己 浜近高徳 高瀬アラタ
山田孝之






公開時コピー
これで、すべてを終わらせる。

秦建日子の小説「推理小説」を基にしたTVドラマ「アンフェア」の完結編。2006年のTVシリーズから9年かけての完結編となり、本作の脚本自体はオリジナルとなっている。
TVスペシャルがスピンオフを含め4本制作されている。
監督は同シリーズの脚本を手がけた佐藤嗣麻子。
出演はシリーズの篠原涼子、阿部サダヲ、加藤雅也、寺島進、佐藤浩市に加え、「クローバー」の永山絢斗、「草原の椅子」のAKIRA、「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」の吉田鋼太郎など。

<あらすじ>
優秀な刑事だった父の死の真相を探るため、捜査一課の刑事になった雪平夏見(篠原涼子)。父が警察内部の不正に迫っていたことを知った雪平は、犠牲と引き換えに証拠を入手する。
一方、雪平に手を貸した検事の村上(山田孝之)とその父親である元検事総長が相次いで殺される。
容疑者としてシステムエンジニアの津島直紀(永山絢斗)が逮捕されるが、彼は取調に雪平を指名しする。彼は司法の不正を暴こうとしたために、罠にはめられたと主張するが…。



<総評>
実を言えばシリーズのほとんどを見ておらず、ちゃんと見たのが1作目「the movie」と前作の「the answer」のみ。とはいえ、おおよその筋は前作(2作目)からでも把握できたので、楽しめました。
女性刑事が主人公の作品は割と良作が多く、「ストロベリーナイト」「沙粧妙子 - 最後の事件 -」「ケイゾク」などなどあります。
その中でも「アンフェア」シリーズはTVスペシャル、劇場版が制作されることから、高い人気がうかがえます。
サスペンスやミステリ、アクションの要素が十分かつ、女性監督ならではの女性視点という刑事ドラマとして面白く、成立しているのかもしれません。
さて、父親の死の真相を探るために刑事になった雪平。思わぬところで警察内部の不正の証拠を掴みます。証拠を抱えた彼女の元にやってきたのは、殺人犯として逮捕されたSEの津島。
2人は警察内部の不正を暴くために行動し、警察から狙われるわけですが、誰が黒幕でそして一味なのか、という展開がなかなかスリリングで面白い。前作からうまく繋がっており、伏線の回収も見事です。
アクションシーンもかなり力が入っていますが、良い感じにキレイ過ぎず、予定調和のような立ち回りが少ないですね(最近は何でも決まった動きのアクションが多すぎる)。それにしても、雪平の拳銃がマニアックです。S&W M39なんて日本の警察での使用は極一部(というかまだ使ってるのか?)だけだし、細かいところがこだわってます。
主演の篠原涼子はすっかりできる女性、という役柄が板に付いてきました。冒頭からヌードシーンを披露していますが、スタイルがいいですね。この人自体がスタイリッシュです。
永山絢斗は好演。完結編での重要な役割を十分に果たす演技力を見せてくれます。
阿部サダヲや加藤雅也、それに寺島進、佐藤浩市がしっかりと助演していますが、それにしてもAKIRA…うーん、今回のような役は向いているのかな。やっぱり演技が少し見劣りしますね。
作品自体の完成度は非常に高く、最後まで息をつかせない面白さでした。
実は1作目の「the movie」はほとんど印象に残っておらず、出来もかなり不完全だった印象があります。しかし、本作はアクション映画としての見応えもあり、シリーズのファンなら納得のできじゃないでしょうか。

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by syosei7602 | 2015-10-22 23:59 | ミステリ/サスペンス
バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2
d0030824_23555461.jpg『BACK TO THE FUTURE PART II』
アメリカ/1989
監督:ロバート・ゼメキス
出演:マイケル・J・フォックス クリストファー・ロイド
リー・トンプソン トーマス・F・ウィルソン
エリザベス・シュー ジェームズ・トルカン
ジェフリー・ワイズマン ケイシー・シマーシュコ





公開時コピー
アメリカが“未来”の話題に、ざわめき始めた!

多くのヒット作を手がけたロバート・ゼメキス監督によるSF映画の傑作。
全3作の大ヒットによって、名実共にヒットメーカーの仲間入りを果たした。
出演は「摩天楼はバラ色に」のマイケル・J・フォックス、「アダムス・ファミリー」のクリストファー・ロイド、「J・エドガー」のリー・トンプソンなど。
なお、この2作目で1作目のジェニファーを演じたクローディア・ウェルズからエリザベス・シューに変わっている。

<あらすじ>
1955年から1985年に帰ってきたマーティ(マイケル・J・フォックス)の前に、ドク(クリストファー・ロイド)がデロリアンで現れる。30年後の未来で、マーティの息子がトラブルを起こすことがわかり、それを回避するために30年後に向かうことに。
かくして、マーティとガールフレンドのジェニファー(エリザベス・シュー)は2015年10月21日にタイムスリップする。
しかし、その様子をビフ(トーマス・F・ウィルソン)が見ていた。
未来に着いたマーティは、自分がジェニファーと結婚していることを知る。
しかし、ドクから息子のJrがビフの孫であるグリフの言いなりで窃盗を起こして逮捕され、家族崩壊の原因となることを知らされる。
マーティは息子になりすまし、グリフと対決することになる。



<総評>

2015年10月21日です。BTTFファンなら特別な日であり、シリーズ通して夢中になって何度も見ていました。特にアオシマ教材から出ていたデロリアンのプラモデルは、何度も映画を見直して細かく作ったものです。
タイムスリップものとしては、未来を変えるという王道パターンのストーリーで意外と暗めなのですが、登場する未来(今年の!?)の科学力はホバーボード、空飛ぶ車、3D、音声操作テレビ、そして実現するかどうかわからないシカゴカブスのワールドリーグ制覇と、今だからこそ楽しめるネタが満載です。
そういやジーンズのポケットを出すというのは流行ってないですね。
物語は1作目の終わりから正当に続きます。元々は2作目と3作目は1つの作品だったそうで、短期間で完結編まで公開されたのも納得です。
さて、1作目で無事1985年に帰還したマーティ、しかし未来では息子がトラブルを起こす予定で、さらにジェニファーとの結婚も簡易式場とあまり幸せでは無い様子。
どうにか自分の未来を変えるために右往左往するわけですが、あっちを変えればこっちが変わり…その原因は自分であり、因縁の相手であるビフなわけです。
タイムパラドクスものとして、よく練られたストーリーですが、3作目に続くことを前提にしたためか、些か駆け足気味になったのが残念なところ。
しかし、今だからこそわかるのは、未来を描いた作品としては意外と現実的だったということ。これは嬉しい誤算なのかも。
出演はお馴染みマイケル・J・フォックス。当時20代後半で高校生を演じ、本作では息子、娘役も演じています。
マッドサイエンティストとも言うべきドクを演じたクリストファー・ロイドは、当時でも結構な年齢だった気がしますが、未だに健在とのことで嬉しい限り。
残念ながらドクの吹き替えを演じた青野武は故人となってしまいましたが、TVでの放映では印象に残っていました。
ビフを演じたトーマス・F・ウィルソンはTVドラマ等で活躍。しかし、ビフ役はインパクト残したなぁ。
改めて前作を見直したいと思いますが、USJのアトラクションは既に未来を超えてしまったけど、どうなるのだろう…という、いらぬ心配をしたりして。
80年代のパワフルな作品、未見の人は是非に!

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by syosei7602 | 2015-10-21 23:58 | SF/ファンタジー/パニック
屍者の帝国
d0030824_01414715.jpg『THE EMPIRE OF CORPSES』日本/2015
監督:
牧原亮太郎
声:細谷佳正 村瀬歩 楠大典 三木眞一郎
山下大輝 花澤香菜 大塚明夫 菅生隆之








公開時コピー
求めたのは、21グラムの魂と君の言葉

「虐殺器官」でデビューし、長編2作と本作の原作となる冒頭30ページ、いくつかの短編等を残し、2009年に34歳で夭逝した小説家・伊藤計劃。
本作は伊藤計劃の長編3作品を映像化する「Project Itoh」の1作目となる。
親交が深かった芥川賞作家・円城塔があとを引き継ぎ、原作小説となる「屍者の帝国」を完成させた。
監督は「ハル」の牧原亮太郎、声は「心が叫びたがってるんだ。」の細谷佳正、「ハイキュー!!」シリーズの村瀬歩、「キャプテンハーロック」(2013)の楠大典など。
なお、3作目となる「虐殺器官」は制作会社だったマングローブの自己破産により、公開が危ぶまれている。

<あらすじ>
19世紀末のロンドン。ヴィクター・フランケンシュタイン博士によって屍体の蘇生技術が実用化され、全世界で屍者が労働力として使われていた。
ロンドン大学の医学生ジョン・H・ワトソンは、亡くなった親友フライデーを蘇生させる。その目的は屍者からは失われてしまった21グラムの魂を探求することだった。
しかし、違法な蘇生がばれたワトソンは、政府の諜報機関ヴォルシンガムによって連行され、そこで指揮官であるMに会う。
Mは、ワトソンに違法蘇生を見逃す代わりに、機関の一員として働くことを命令する。
その目的は、ロシアから屍者を連れて脱走し、アフガニスタンで「屍者の王国」を築いた男、カラーマゾフの動向を探ることだった。



<総評>
いつも気になっていた「虐殺器官」。そして、伊藤計劃という作家…最近になって「虐殺器官」を読んだのですが、圧倒的な情報量を持つ文章と物語の構成に、思わず夢中になりました。そして、たまたま本作の公開…しかし、「虐殺器官」の公開が延期になったのは残念でしかありません。
原作小説は冒頭30ページのみが残されており、ほぼ全てが円城塔なのですが、他人の作品の跡を継ぐのはさぞかし苦労しただろうなと思います。
また、有名な小説や映画の登場人物、実在した人物を織り交ぜたパスティーシュ小説となっており、登場人物達がどのような小説に出て、またどのような歴史上の人物であったのかを調べると、本作の世界観が広がりますね。
さて、物語の世界では、死者は意志無き労働力として使われており、そこには死者の尊厳はほとんど見受けられません。
主人公ワトソンは死んだ友人フライデーを密かに蘇生させ、彼の中に魂の存在を見つけようと研究していきます。しかし、ワトソン自身もまた、フライデーを労働力の1人としても使用しており、本作の世界観を端的に表現しています。
屍者の蘇生の秘密と魂の存在、様々な思惑が絡み合い、物語は複雑になっていきますが構成としては非常によくまとまっています。
原作から端折られてしまったキャラクターも多そうですが、映像作品としてのまとまりが欠けている箇所はありません。
また、スチームパンクなビジュアルが見事で、それぞれの国の特徴がしっかりと表現され、映像としての美しさも十分です。
声をあてた細谷佳正をはじめ、それぞれが力と繊細さのある演技力を披露し、物語をしっかりと構築しています。こういった作品では力一辺倒になりがちですが、やはり基本のしっかりとした声優の演技力は素晴らしいですね。
クライマックスは些か壮大になりすぎた感じもあり、個人的にはもう少し規模を抑えても楽しめた気がします。
エンドロール後にエピローグがあります。なるほど、こういうオチか、と…思わずニヤリとするパスティーシュ小説ならではのおもしろさでした。

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by syosei7602 | 2015-10-20 23:59 | アニメ/CG
キングスマン
d0030824_00320706.jpg『KINGSMAN: THE SECRET SERVICE』
イギリス/2014
監督:
マシュー・ヴォーン
出演:コリン・ファース マイケル・ケイン タロン・エガートン
マーク・ストロング ソフィア・ブテラ サミュエル・L・ジャクソン
ソフィー・クックソン マーク・ハミル ハンナ・アルストロム






公開時コピー
表の顔は高級テーラー。
しかしその実態は、世界最強のスパイ機関「キングスマン」。


「キック・アス」のマシュー・ヴォーン監督と原作者のマーク・ミラーが再び組んだスパイアクション。
出演はオスカー俳優のコリン・ファース、マイケル・ケイン、本作がデビュー作となるタロン・エガートン、サミュエル・L・ジャクソン、マーク・ストロング、ダンサーとして有名なソフィア・ブテラなど。

<あらすじ>
1997年、中東でどの国家にも属さないスパイ組織であるキングスマンの隊員が1人、命を落とす。彼の妻と幼い息子エグジーは、ハリー(コリン・ファース)から1枚のメダルを渡される。
それから17年、22歳になったエグジー(タロン・エガートン)は無職で、母のアパートに同居していた。しかし、母の交際相手の手下達とトラブルを起こし、逮捕されてしまう。
彼がメダルに書かれた番号に電話すると、現れたのはハリーだった。
ハリーは、作戦中に死亡したキングスマンのメンバーであるランスロットの後任として、エグジーをスカウトする。



<総評>
「キック・アス」でウィットに富んだ世界観を作り上げ、アクション映画に一石を投じたマシュー・ヴォーン監督。その新作の原作者が同じとなれば、これはもう見るしかないでしょう。
数々のスパイ映画ネタ、小道具、スタイリッシュかつバイオレンスなアクション、ユーモラスな敵役と面白ネタは十分です。
何よりもスパイ映画は日本でも十分に認知されているが故、元ネタがとてもわかりやすい。アーサー王伝説をなぞっているのもイギリスらしいですね。
さて、国家に縛られないスパイ組織キングスマン。表向きは高級テーラー、その内実はMI6、CIA、モサドも凌ぐ強力な組織です。スパイ道具は紳士の持つ道具に仕込まれたものばかり。最近のスパイ映画にしては珍しく、身の回りの品にハイテクを仕込んでいます。見た目はスーツを着た紳士なのに…というギャップが007のワイルドさと一線を画した設定ですね。
むしろ目立たないという意味では、より実際のスパイに近いかもしれません。
主人公エグジーが行うスパイ養成は意外と、通り一辺倒な感じも受けますが、並行して語られる天才IT技術者で大富豪ヴァレンタインの策略は荒唐無稽かつそのバカさ加減が実に暴力的。
全体の演出はオープニングから捻りが利いているし、過去映画のインスパイアだのオマージュだのと言うものじゃなく、これぞアレンジかつ刷新と言えるでしょう。
出演は豪華な布陣。
どう見たってアクションしなさそうなコリン・ファースの意外性、童顔なタロン・エガートンに、切れた悪役を演じるサミュエル・L・ジャクソンなんてノらない訳がない。驚きを通り越したのがマーク・ハミル…64歳とはいえ、まったくわからなかった。ソフィア・ブテラのアクションもダンサーならではの動き。個人的な好みでソフィー・クックソンをもうちょっと見たかったところです。
全体的に惜しかったのは、もう少し危機的シーンで盛り上げてくれても、といったところ。しかし、余韻が残る面白さでは今のところ、今年一番の面白さでした。

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by syosei7602 | 2015-10-19 23:59 | アクション/アドベンチャー
心が叫びたがってるんだ。
d0030824_02012477.png『BEAUTIFUL WORD BEAUTIFUL WORLD』
日本/2015
監督:長井龍雪
声:水瀬いのり 内山昂輝 雨宮天 細谷佳正 村田太志
高橋李依 石上静香 大山鎬則 古川慎 藤原啓治 吉田羊







公開時コピー
ずっと、ずっと、
伝えたかった。


大ヒットアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の長井龍雪監督、岡田麿里脚本、田中将賀キャラクターデザインによるオリジナル長編アニメ。
音楽はクラムボンのミト、主題歌は乃木坂46。
声は「翠星のガルガンティア ~めぐる航路、遥か~」の水瀬いのり、「機動戦士ガンダムUC」の内山昂輝、「ニンジャスレイヤー フロムアニメイシヨン」の雨宮天、「屍者の帝国」の細谷佳正など。
「あの花」と同じ時間軸と舞台(群馬県)となっている。

<あらすじ>
幼い頃、山の上のお城に憧れていた成瀬順。ある日、お城で見たことを何気なく発した言葉によって家族はバラバラになってしまう。そして突然現れた“玉子の妖精”に呪いをかけられた順は言葉を話すとお腹が痛くなり、喋ることをやめてしまう。
高校2年生になったある日、担任の城嶋から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは本音を言わずやる気の無い坂上拓実、甲子園を期待されながら肘を故障して挫折した田崎大樹、チアリーダー部で優等生の仁藤菜月だった。
それぞれがバラバラの気持ちの中、ふとしたことから順は拓実と接点を持つことになる。


<総評>
近年の泣けるアニメの代表作「あの花」。
本作は同じスタッフが集結し、同じ時間軸、舞台を使った青春劇です。人気があるとはいえ、過去コンテンツを活かしつつ、新しいもの、それもオリジナル作品となれば、かなり緊張感がある冒険的な試みとも言えます。
そんな背景が垣間見えつつも、本作はとても見応えがありました。
言葉が誰かを傷つけてしまい、自分自身も傷つく…10代の少年少女達の青春、即ち学校や部活、友人関係、そして恋愛という様々なテーマを内包した本作は、泥臭くもスッキリとしていました。
さて、幼少の頃の何気ない一言で一家離散という目に遭ってしまった少女、順。
おしゃべりが禍となることを知り、玉子の妖精に呪いをかけられるという出だしは一瞬、すこし不思議な物語になるのか?という微かな不安を抱かせましたが、物語が進めばそんなことは払拭されます。
話すことができない順(コミュニケーションはメールやメッセンジャー)は、「地域ふれあい交流会」の委員となった拓実や大樹、菜月といったクラスメートと接点を持つことで、自分が本当にしたかったこと、するべきことを自覚していきます。
この描き方がとても丁寧で、なおかつクラスメート達も含め今時の高校生らしさがよく出ていました(まあ、今時っていうのがよくわからないんだけど)。
物語はやがて、クラス全体を巻き込みつつ交流会で行う催し物の開催へと繋がっていくわけです。クラス全体で描かれるのは、言葉だけではない人と人の繋がり、行動や態度でも大きく変わっていく身近な世界です。
登場人物たちがどのようにして、その世界で経験をし、そして先へと繋げていくのか…話せない主人公という設定は、非常にうまいですね。
声優陣は非常に演技力がたかく、特に主人公の順を演じた水瀬いのりは、僅かな言葉の中に様々な感情を織り交ぜているのがよくわかる熱演でした。
もちろん、内山昂輝、雨宮天、細谷佳正も見事。さらに順の母親役である吉田羊が妙にはまっています。
先の展開が読めてしまうという少し残念な面もありますが、豊かな表情と動き、よく練られたセリフの数々が感動を誘う良作です。

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by syosei7602 | 2015-10-15 23:59 | アニメ/CG
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド
d0030824_23565963.jpg『ATTACK ON TITAN END OF THE WORLD』
日本/2015
監督:樋口真嗣
出演:三浦春馬 長谷川博己 水原希子 本郷奏多
三浦貴大 桜庭ななみ 松尾諭 石原さとみ
ピエール瀧 國村隼






公開時コピー
世界はまだ、終わらない。
今度は人類の番だ。


前後編2部作の後編。ほぼ全て映画オリジナルの展開となっている。
前編から引き続き、監督は「のぼうの城」の樋口真嗣、脚本は映画評論家の町山智浩と「ジョーカー・ゲーム」の渡辺雄介。
出演は「永遠の0」の三浦春馬、「ラブ&ピース」の長谷川博己、「ノルウェイの森」の水原希子など。

<あらすじ> 前編のネタバレが含まれています!
アルミン(本郷奏多)をかばい、巨人に食われてしまったエレン(三浦春馬)は、巨人化して他の巨人達を倒していく。
やがて力尽きたエレンが目覚めると全身を拘束され、司令官のクバル(國村隼)から人間か否かを問われる。しかし、アルミン、ミカサ(水原希子)はエレンが正気であることを信じてクバルと対立する。


<総評>
個人的には微妙な評価となった前編。されど、後編はやはり気になると言うことで見たのですが、結果としては脚本の拙さが大きく目立っていました。
原作通りにいかないのは当然としても、この出来はつらいと言わざるを得ないでしょう。
まず、原作を中途半端に盛り込み、突き抜けた設定変更にしきれなかったために、違和感だけが残りました。
さて、ストーリーは調査団がほぼ壊滅状態に陥ったところから始まります。
壁に開けられた穴をふさぐため…というのは、原作でも非常に重要なエピソードになっているわけですが、ストーリー展開は終始「穴塞ぎ」であり、その中でシキシマが重要な役を担っていきます。
このシキシマ、前編でも悪い意味で印象に残ったんですが、後編では物語のキーマンとなるため、さらに悪目立ちしています。そもそも、ミカサの設定を大きく変えてしまったことに帰因しているようで、原作のリヴァイとミカサによる相反した強さが有耶無耶に。
そして、シキシマ配下となったミカサ、嫉妬するエレンという構図は「進撃の巨人」に必要なのか?という疑問を生み出しています。
巨人という謎も結局、ありきたりな設定になってしまい、未完結な物語を無理矢理まとめた感が強く出てしまいました。
特撮シーンや超大型巨人は頑張っていました。こういうのは、日本ならではの特撮感というか、面白さが出ていますね。
出演者についてはもう、石原さとみのキレっぷりと長谷川博己の悪目立ちだけが印象に残った感じです。
実写化が早すぎたというより、世界観の変更に無理があったというべきか。
とにもかくにも脚本、その一言に尽きる作品です。

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by syosei7602 | 2015-10-13 23:59 | SF/ファンタジー/パニック
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
d0030824_23471514.jpg『ATTACK ON TITAN』日本/2015
監督:樋口真嗣
出演:三浦春馬 長谷川博己 水原希子 本郷奏多
三浦貴大 桜庭ななみ 松尾諭 渡部秀 水崎綾女
武田梨奈 石原さとみ ピエール瀧 國村隼







公開時コピー
運命に挑め――。
戦わなければ、勝てない。


アニメ化から一気に火がついた諫山創原作の「進撃の巨人」、実写化。
前後編の2部構成とWeb限定公開のスピンオフの1作で、ストーリーはオリジナル、設定はキャラクターをはじめ、世界観など大きく変更されている。
監督は「のぼうの城」の樋口真嗣、脚本は映画評論家の町山智浩と「ジョーカー・ゲーム」の渡辺雄介。
出演は「永遠の0」の三浦春馬、「ラブ&ピース」の長谷川博己、「ノルウェイの森」の水原希子など。

<あらすじ>
謎の巨人達が人類を滅亡の危機に追いやり100年。生き残った者たちは巨人を防ぐために、巨大な壁を三重に築き平和に暮らしていた。
壁の外の世界に憧れる青年エレン(三浦春馬)は、幼なじみのアルミン(本郷奏多)、ミカサ(水原希子)にその夢を語る日々。
ある日、壁の間近に来た3人の目の前に超大型巨人が現れ、壁の一部が崩壊し街は壊滅する。
それから2年、辛うじて生き延びたエレンとアルミンは巨人に対抗する調査団に入団し、壁の修復へと向かうことになる。


<総評>
原作を読まず、アニメのみを見ていた「進撃の巨人」。個人的には実写化にお金を使うならアニメ版の続編を作って欲しかったかも。
これを書いている時点では後編も見終わっているのですが、まずは前編から。
原作からの改変箇所は、主人公達が少年ではなく青年であり、特にミカサは単なる女の子。世界観は中世ヨーロッパ風ではなく、あくまでも現代社会の技術が僅かばかり残っているため、壁は煉瓦造りではなくコンクリート、移動手段は馬から車になっています。
これだけでもガッカリ感が強くでているのですが、さらにはミカサと並ぶ人気キャラクターのリヴァイは登場せずに、シキシマなる隊長が登場します。
前提条件がこれだけあると、ストーリーはほぼ別物と言っていい展開になります。
さて、壁の中で平和に暮らしていた人類を襲った巨人達。エレン達は巨人を倒すために、調査団に入るのですが、そこそこ科学兵器が残っている状態で立体起動装置って…とちょっと疑問に思ってしまいます。
荒廃した世界観は若干、マッドマックス風味ですが登場する巨人達が見事すぎる。とにかく気持ち悪い。そして、人間を食べるシーンは圧巻の恐怖。
うーん、ここまでは割と見られたのですが、問題はシキシマでしょうか。
とにかく、このシキシマがリヴァイの代わりというのはキャラクター設定を間違えているとしか言いようが無い。
すかしたセリフと芝居がかった動き…演じた長谷川博己はもっとうまいはずなのに、いやうまかったよね?と思わず再確認してしまいました。
そして、ミカサのキャラクター設定もなんというか、エレンを守ることだけに自分を捧げてきた彼女の強さが欠片も見られず。もちろん、原作は過去の話ありきだとはわかっていますが、やっぱり違うんだよなぁ。
出演陣は三浦春馬は正直あまりうまいとは思えないですね。中心となる長谷川博己と水原希子も含めて、残念な感じでした。
唯一、キャラが立ち過ぎたハンジ役の石原さとみだけが救いかもしれません。
後編へ続く。

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by syosei7602 | 2015-10-12 23:52 | SF/ファンタジー/パニック