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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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カテゴリ:ヒューマン/ドラマ( 71 )
リトル・ミス・サンシャイン
d0030824_1275243.jpg『LITTLE MISS SUNSHINE』 アメリカ/2006
監督:ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス
出演:グレッグ・キニア トニ・コレット スティーヴ・カレル
アラン・アーキン ポール・ダノ アビゲイル・ブレスリン
受賞:アカデミー賞/助演男優賞・脚本賞(2006)
LA批評家協会賞/ニュー・ジェネレーション賞(2006) 他


公開時コピー
夢と希望を乗せて、黄色いバスは行く

インディーズ作品ながらアカデミー賞をはじめ、多くを受賞したロードムービー。
監督は夫婦でもあるジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス。
出演は「ワンス・アンド・フォーエバー」のグレッグ・キニア、「イン・ハー・シューズ」のトニ・コレット、「40歳の童貞男」のスティーヴ・カレル、「ファイヤーウォール」のアラン・アーキン、「ファーストフード・ネイション」のポール・ダノ、「幸せのレシピ」のアビゲイル・ブレスリンなど。

<あらすじ>
d0030824_1245410.jpgアリゾナ州に住むフーヴァー一家は、それぞれに問題を抱えていた。一家の長である父親リチャード(グレッグ・キニア)は独自の人生成功論の本を売り出そうと躍起になっている。
母親のシェリル(トニ・コレット)は、リチャードの仕事に不安を持ち、リチャードに反目する息子ドウェーン(ポール・ダノ)に頭を悩ませていた。
幼い娘オリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)は、到底優勝の見込みのないミスコンに入れあげ、祖父(アラン・アーキン)は孫娘を溺愛しているがヘロイン漬け。
ある日、シェリルの兄であるフランク(スティーヴ・カレル)が自殺未遂をしたとの知らせを受け、彼女は病院へ迎えに行く。d0030824_1252394.jpg鬱病という診断から、しばらく彼を家におくことにするが、ちょうどその日オリーヴが以前に出場したミスコンで繰り上げ優勝し、カリフォルニアで行われる「リトル・ミス・サンシャイン」への出場資格を得る。
驚喜するオリーヴの夢を壊したくない一家は、節約のためにワーゲンのおんぼろバスに乗ってカリフォルニアを目指すが、次々とトラブルに見舞われる。

<作品解説>
家庭崩壊目前の家族が、それぞれの悩みや目的を抱えながら、一家で一番幼い娘のために旅に出るという…ざっと解説すればシンプルそのものなストーリーです。
本作はこのどうってことのないシナリオの中に含まれる現実への皮肉さなどを織り込み、それぞれの問題が解決するわけでもないという展開で進みます。
人生を勝ち馬と負け犬に分ける父親、夫とその父親や息子に悩む母親、独自の哲学と家族への反発から一言も発しない息子、ヘロイン漬けの祖父、ミスコン優勝を夢見る娘、さらにはゲイで半ばホームレス状態の伯父…。それぞれが全く方向性の違う先を見据えているために、意見はうまくまとまらず。
本作の秀逸な点はこの家族の中でのキャラクターがしっかりと成立しているところにあります。父親は非常に不愉快な人間だし、息子は変人といった具合にマイナス要素ばかりがそろっており、さらにトラブル続き。まあ、実際のところこれほどトラブルが続くというのは妙な話にも思えますが「ついていないときは、とことんついていない」というネガティブな部分を笑いに消化しているのは見事。
ひとり一人が好き勝手に目標を持つのではなく、家族が一つの目標を持つことの大切さがしっかりと描かれた良作です。

<見どころ>
極端なキャラクターの中にあって、ひとり下ネタとセックス論に走る祖父が過激で笑えます。
それでも孫娘に気を遣っているところは、家族という絆のせいでしょうか。
クライマックスはもうシュールというかなんというか…。

<出演者>
グレッグ・キニアの皮肉まじりの笑い方とうざさに拍手。
アラン・アーキンが見事、オスカーに輝きました。毒舌じいさんを好演。
疲れ果てたシェリル役のトニ・コレットと息子ドウェーン役のポール・ダノが12歳しか離れていないのがすごいキャスティングです。
スティーヴ・カレルはゲイのフランク役ながらも実は常識人の落ち着いたイメージ。
娘オリーヴ役のアビゲイル・ブレスリンはまさにはまってました。なるほど、ミスコンで優勝したい!っていう意志とはうらはらに微妙なラインを維持するオリーヴを好演。

<総評>
現実はかくも過酷なのか…と思わせておいて、結構間違った方向にパワーを使っていた家族がまとまるとどうにかなっちゃう(もっとも問題は解決していない)。
常識そのものがイコール正しいとは限らないとでも言うべきでしょうか。クライマックスのミスコンは、非常識と常識がきわどいラインで交錯し、その結果は見た人次第といえるでしょう。

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by syosei7602 | 2008-02-20 23:59 | ヒューマン/ドラマ
となり町戦争
d0030824_2323382.jpg『となり町戦争』 日本/2006
監督:渡辺謙作
出演:江口洋介 原田知世 瑛太 菅田俊 飯田孝男 小林麻子
余貴美子 岩松了




公開時コピー
町対町、役所と住民、上司と部下、そして男と女
今、一線を越える!


三崎亜記の同名小説の映像化。
監督は「ラブドガン」の渡辺謙作。
出演は「アンフェア the movie」の江口洋介、「紙屋悦子の青春」の原田知世、「銀色のシーズン」の瑛太、「どろろ」の菅田俊、「カインの末裔」の飯田孝男など。

<あらすじ>
d0030824_2303887.jpg舞坂町で暮らす北原(江口洋介)は、ツアー会社で働く平凡な毎日。
ある日、町の広報紙に「舞坂町はとなり町の森見町と戦争をします」という一文を見つける。何のことだかよくわからないが、開戦日になっても町は平穏だった。
数日後、携帯電話に町役場の対森見町戦争推進室の香坂(原田知世)という職員から電話がかかってくる。
d0030824_2305397.jpg北原には役場から特別偵察業務の指令が来ていたのだ。要領を得ないまま、役場に訪れた彼は香坂と出会う。偵察業務の内容が通勤時に森見町の様子を探るだけと聞いて、深く考えずに引き受けてしまうのだが…。


<作品解説>
原作は冒頭からなかなかシュールな始まり方でおもしろかったんですが、本作はまずは主人公の日常生活から始まります。おそらく、日常と非日常の区別の為に入れたんだと思いますが、これが意外と効果的。
さて、本作はとなり町との戦争という、まさしく不思議なストーリーです。国でもなく、部族でもなく、宗教でもなく町同士の戦い。この戦いは戦車や戦闘機を使うわけではなく、ほぼ隠密というって良いほどです。町民からの志願兵に加え、主人公のように依頼された者(とはいっても任意なので断れる)が混ざって日常の中で戦争業務に就きます。
主人公は偵察業務のため、単純に自分の通勤する通りを適当に記録していくだけなんですが、なぜかこれによって戦局が動いていく…業務としての戦争、町議会の決定事項としての戦争、序盤は割とコミカルな展開が続きますが中盤以降から北原と香坂の関係に重点が置かれていきます。
この展開がなかなか秀逸で、戦争とは一体なんなのかという問いそのものであり、そして答えがラストに明らかになる。シュールなシリアス、おもしろい作品です。

<見どころ>
香坂さんが「すべて業務」と言い切ってこなしていく、戦争に対するストイックな部分がおそろしくもあり…。
町の風景もなかなか素晴らしく、柔らかい映像の中に見える戦争の瞬間はなかなか怖いですね。

<出演者>
江口洋介、原田知世の落ち着いた演技が見事でした。出演者はかなり少ないんですが、主人公・北原を演じる江口洋介の身の回りの出来事が中心となるため、展開に迷うことなく落ち着いて見られます。
瑛太は中盤以降のみ。前田を演じた飯田孝男が良い味を出していました。

<総評>
原作とは違う結末なのですが、個人的には好きです(原作は切ないんですがね)。
戦争とはただ銃を撃ち合うだけじゃない、むしろその行為によって引き起こされる結果がどれだけ悲惨であるかを描いています。
若干、冗長的ではあるけれど地味におもしろい映画でした。

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by syosei7602 | 2008-02-18 23:59 | ヒューマン/ドラマ
アルゼンチンババア
d0030824_02777.jpg『アルゼンチンババア』 日本/2007
監督:長尾直樹
出演:役所広司 堀北真希 鈴木京香 森下愛子 手塚理美
    岸部一徳 きたろう 田中直樹 小林裕吉 菅原大吉
    渡辺憲吉 桜井裕美 有坂来瞳  唯野未歩子 石垣光代



公開時コピー
しあわせがじんわりと体中にしみわたる

よしもとばななの同名小説の映画化。
監督は「鉄塔武蔵野線」の長尾直樹。
出演は「バベル」の役所広司、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の堀北真希、「陽気なギャングが地球を回す」の鈴木京香、「木更津キャッツアイ」シリーズの森下愛子、「茶の味」の手塚理美、「フラガール」の岸辺一徳、「どろろ」のきたろう、「逆境ナイン」の田中直樹、「椿三十郎」(2007)の小林裕吉など。

<あらすじ>
ある町に住む高校生のみつこ(堀北真希)は、石職人の父・悟(役所広司)と母・良子(手塚理美)と平凡に暮らしていた。しかし、良子が入院して亡くなったその日、悟は行方不明になってしまう。
それから半年、みつこは叔母(森下愛子)とその息子・信一(小林裕吉)のおかげでなんとか暮らしていた。
ある日、悟の友人である白井(岸辺一徳)が、町外れにある屋敷の庭先に置いてあった悟の軽トラックを見つける。その屋敷には、頭がおかしいと思われ皆がアルゼンチンババアと呼んでいる女性ユリ(鈴木京香)が住んでいた。
知らせを聞いたみつこが屋敷に行くと、ユリは彼女を歓迎する。そして悟は屋上で、なぜか曼陀羅を石で作り続けていた。

<作品解説>
原作は未読ですが、若干ファンタジーっぽいヒューマンドラマです。
鈴木京香のババアぶりが話題になりましたが、ババアと揶揄されている割にはやっぱり綺麗です。
さて、本作は突然消えてしまった父親が突然、町ではおかしいと思われている女性の家にいた、という状況から彼をなんとか家に帰らせようと奮闘する娘みつこや周辺人物のドタバタが描かれていきます。
主人公みつこの恋心や、欲望に正直な従兄弟である信一、周囲への体裁上兄を取り戻したい叔母、若干クセのある町の人々などがストーリーを構築しているのですが、その底面に流れるのは人々の生き様と死になります。
アルゼンチンババアは、自らの人生観を堪能して生きている女性であり、妻の死から逃げようとしている悟を受け入れるのですが、町の人々は先入観から彼女をよく思っていません。
それは悟が妻の死を「理解しない」=「受け入れない」という形と平行するものであり、本作の重要なテーマとなります。

<見どころ>
アルゼンチンババアであるユリが終盤で悟に対して語る言葉、シンプルでわかりやすく、本作のテーマそのものを表しています。
屋敷の描写などもなかなかのものですね。

<出演者>
堀北真希はとても好感度の高い女優です。というより、嫌みがないんですよね。
沢尻エリカや長澤まさみと比べても、独特の顔立ちと演技力の高さで好演しています。
役所広司は本作だと少々アクが強すぎた感じを受けます。
そして強烈なメイクをした鈴木京香。この人もうまいんだけど、うーん、やっぱり綺麗すぎる。綺麗すぎるけど、この役をもっと年配の人がやるとケレン味がなくなってしまう。
助演でよかったのは信一役の小林裕吉ですね。

<総評>
作品レベルとしては、可もなく不可もなしなんだけど、映像的にも綺麗だし、シンプルでわかりやすく、何よりも重くないのがいいですね。
ただ、出演者ひとり一人はとても良いのだけど、今ひとつバラバラな感じもします。
もうちょっとぶっ飛んだ展開があってもおもしろかったかな?

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by syosei7602 | 2008-01-29 22:39 | ヒューマン/ドラマ
パーフェクト・ワールド
d0030824_573731.jpg『A PERFECT WORLD』 アメリカ/1993
監督・出演:クリント・イーストウッド
出演:ケヴィン・コスナー T・J・ローサー ローラ・ダーン
    キース・ザラバッカ レオ・バーメスター
    ブラッドリー・ウィットフォード ジェニファー・グリフィン



クリント・イーストウッドとケヴィン・コスナーの共演が話題を呼んだヒューマンドラマ。
監督は出演も兼ねたイーストウッド。
出演は「守護神」のケヴィン・コスナー、「母の贈りもの」のT・J・ローサー、「インランド・エンパイア」のローラ・ダーンなど。

<あらすじ>
1963年、テキサス州。アラバマ刑務所からブッチ(ケヴィン・コスナー)と同房のテリー(キース・ザラバッカ)が看守の1人を人質にとって脱獄する。
車を変えるため、2人は夜明け間近の街を物色するが、こともあろうにテリーは早起きをしていたペリー家に押し込んで夫人に乱暴しようとし、苛立ったブッチに殴られる。
しかし、近隣住民に見つかった2人はペリー夫人の8歳の息子フィリップを人質にして逃亡するのだった。
一方、テキサスレンジャーのレッド(クリント・イーストウッド)達は、知事から派遣された犯罪心理学者サリー(ローラ・ダーン)と共に2人の追跡を始める。

<作品解説>
イーストウッド監督作品の中でもニューシネマ的な作りが特徴的な作品。
共にアカデミー賞を獲得しているイーストウッドとケヴィン・コスナーの共演が魅力的なのですが、それ以上にシンプルでわかりやすいストーリーによって感情移入しやすくなっています。
脱獄囚ブッチと人質になった少年フィリップの交流と、それを追うどこかユーモアを漂わせるクールな捜査官レッドの2つのシーンが交互に入れ替わっていきます。
ブッチとフィリップの場面はロードムービーの体裁であり、そしてバディムービーとも言える展開になります。
されど警察側の視点はかなり限られており、基本的には情報が入る、追うの2パターンに集約され、些かおざなりなのが残念。もっともその不足分をユーモアで補っているわけですが…。
さて、本作で重要なのは家族の絆といったもの。
冒頭で連れ去られるフィリップは、アメリカでは一般的なキリスト教の家ではなく、ハロウィーンのなどのイベントは禁止という家庭。それでも不幸せというわけではないのですが、親の都合によって左右されてしまう辛さがあります。
一方ブッチは非行少年から典型的な犯罪者への道に入ってしまった男ですが、彼には彼の倫理観があり、さらに自由に生きてきたという点においてはフィリップの対極に位置するわけです。
人生の辛さを知るブッチと子供ならではの望みをもつフィリップ…2人の描き方が秀逸な作品です。

<見どころ>
中盤、ブッチはフィリップに「車は20世紀のタイムマシン」というくだりがあるのですが、非常に簡潔な人生哲学。
レッド達のユーモアも外せません。
そして切ないラストは言うまでもなく、名場面です。

<出演者>
若干腹がぼてっとしたケヴィン・コスナーが、ブッチを好演。最近まで低迷していましたが、正統派の二枚目俳優としての彼はやはり格好いい。
クリント・イーストウッドは監督をして、さらにレッド捜査官役で助演。カウボーイハットがいつも似合います。
ローラ・ダーンは些か勿体ない役回りで残念。
やはり特筆すべきはフィリップを演じたT・J・ローサーですね。わずか3作ほどしか映画に出ていないのが勿体ない。

<総評>
イーストウッド監督作品の中でも、比較的見やすい作品です。
「ミリオンダラー・ベイビー」「ミスティック・リバー」の様に陰鬱とした感じが少なく、人との関わりをシンプルに意識した傑作と言えるでしょう。

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by syosei7602 | 2008-01-25 23:44 | ヒューマン/ドラマ
ALWAYS 三丁目の夕日
d0030824_2254058.jpg『ALWAYS 三丁目の夕日』 日本/2005
監督:山崎貴
出演:吉岡秀隆 堤真一 小雪 堀北真希 三浦友和 もたいまさこ
    薬師丸ひろ子 須賀健太 小清水一揮 マギー 温水洋一
    小日向文世 石丸謙二郎 松尾貴史 小木茂光 益岡徹
受賞:日本アカデミー賞/作品賞・主演男優賞 他(2005)
    ブルーリボン賞/助演男優賞・助演女優賞(2005)

公開時コピー
携帯もパソコンもTVもなかったのに、
どうしてあんなに楽しかったのだろう。


西岸良平のコミック「三丁目の夕日」の実写化。
2005年の日本アカデミー賞にて13部門を制覇。邦画としては異例の大ヒットとなり、続編も製作された。
監督は「ジュブナイル」の山崎貴。
出演は「ジュブナイル」の吉岡秀隆、「魍魎の匣」の堤真一、「ラストサムライ」の小雪、「トリック 劇場版2」の堀北真希、「遠くの空に消えた」の三浦友和、「めがね」のもたいまさこ、「木更津キャッツアイ ワールドシリーズ」の薬師丸ひろ子、「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」の須賀健太など。

<あらすじ>
昭和33年、東京下町の夕日町三丁目。
ある日、町に2人の新しい住人がやってくる。1人は鈴木オートに集団就職で青森からやってきた六子(堀北真希)、もう1人は母親に捨てられ飲み屋の女将・ヒロミ(小雪)の元に連れてこられた小学生・淳之介(須賀健太)。
淳之介はヒロミのかつての芸者仲間だった女性の子供だった。まだ店を始めて1週間、困り果てたヒロミは店にやってきた売れない小説家・茶川竜之介(吉岡秀隆)に、色仕掛けと酒で預かって貰うように頼む。
あまり仲の良くない鈴木オートの社長(堤真一)がいた手前、彼は断り切れずに淳之介を連れて帰る。
翌朝、淳之介を見て驚く茶川だったが、約束を破るわけにもいかず渋々面倒を見ることに。
しかし、淳之介と茶川には意外なところで仲良くなるのだった。

<作品解説>
昭和30年代の街並みを、山崎監督お得意のVFXとセットでリアルに再現したことでも話題になった作品です。建設中の東京タワー、東京駅、蒸気機関車、都電、小物に至るまで抜かりなく…といったところですが、30年代を知らないのでどこまで忠実なのか、実際のところわからないですね。
もっとも、知らない世代には新鮮に映るので、この際は映画を楽しむということに終始すれば良いわけです。
さて、本作ですが脚本、演技ともに非常に優れています。近年ではセカチューと韓流以降、悲劇のラブストーリーで泣かせることが多いんですが、本作はその逆。
都会では失われつつある、地域コミュニケーションが描かれ、人との繋がりや温かさでじんわりと心地よく泣かせてくれるのです。高度経済成長が始まらんとする時代において、懸命だけれど、ちょっとした楽しさを見つけては近所の皆で盛り上がる…その中心にいるのが鈴木オートの家族と住み込みの従業員・六子、そして向かいに住む駄菓子屋で小説家の茶川と預けられた淳之介になります。
短気だけれど江戸っ子気質の鈴木、少々ひねくれものの茶川の2人の仲はそれほど良くないものの、六子と淳之介が加わることによって変化していきます。
新しい者を受け入れる柔軟さ、それに伴う生活と心境の変化はまさしく、社会と共に成長していく人々の心を描いた部分と言えるでしょう。

<見どころ>
VFXが見事なのはもちろん、セットに使用されている昭和30年代のものは今では滅多に見られないものばかり。画面に目を凝らせてみましょう。
また、泣かせる部分がさりげなく入っているのはシナリオの妙ですね。

<出演者>
実を言うと吉岡秀隆と小雪ってあまり好きな俳優じゃないのです。
理由は特になかったんですが、本作をみて評価一転。
見事でした。特に小雪はヒロイン然としていて良かったんだけど、もう少し大きな見せ場があれば良かった。
堤真一、薬師丸ひろ子、堀北真希、須賀健太なども非常に好演していますね。
小日向文世の嫌みっぷり、うーん芸達者です。

<総評>
なぜ本作が大ヒットを飛ばしたか…皆、こういう地域コミュニティに憧れているのかなぁ。
なんですかね、こういう時代の「色」って潜在的に懐かしさを喚起させますね。
ちょっと残念だったのが、ラスト。
中盤ではかなり泣けるシーンがあったのに、最後がまったく予想通りなのは勿体ない。
もう少しひねりがあれば、と思わずにはいられなかった。
とはいえ、近年の邦画では間違いなく「見るべき1本」に数えて良いでしょう。

<関連作品>
ALWAYS 三丁目の夕日 (1作目)
ALWAYS 続・三丁目の夕日 (2作目)

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by syosei7602 | 2007-12-16 23:59 | ヒューマン/ドラマ
あなたになら言える秘密のこと
d0030824_043133.jpg『THE SECRET LIFE OF WORDS』 スペイン/2005
監督:イザベル・コイシェ
出演:サラ・ポーリー ティム・ロビンス ハビエル・カマラ 
    エディ・マーサン スティーヴン・マッキントッシュ
    ジュリー・クリスティ レオノール・ワトリング ダニエル・メイズ
    スヴァレ・アンケル・オウズダル


公開時コピー
彼女の名前はハンナ
友達・家族・趣味・将来の夢──すべてなし
どこで生まれ、何をしていたのか?
過去のことは聴かないで


「死ぬまでにしたい10のこと」のイザベル・コイシェ監督とサラ・ポーリーが再び組んだヒューマンドラマ。
出演は「ミスティック・リバー」のティム・ロビンス、「トーク・トゥ・ハー」のハビエル・カマラ、「マイアミ・バイス」のエディ・サーマン、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」のスティーヴン・マッキントッシュなど。

<あらすじ>
ある工場でひたすら寡黙に働く耳が不自由な若い女性ハンナ(サラ・ポーリー)。
4年間無遅刻無欠勤の彼女は、働き過ぎという理由から無理に1ヶ月の休暇を取らされる。
特にあてもなく長距離バスに乗り込んだ彼女は、ある港町に降り立ち、昼食で立ち寄った日本料理屋で、電話をしていた男の話を聞く。
海に浮かぶ油田掘削所で火事があり、大火傷を負った作業員の看護士を捜しているという話しだった。
ハンナはその看護を申し出る。
海の真ん中に浮かぶ油田に着いたハンナは、事故で火傷を負い、視力を一時的に失ったジョゼフ(ティム・ロビンス)の看護を始める。
ジョゼフは、ハンナに名前や出身地を尋ねるが彼女は答えない。それでもジョゼフはユーモアを交えて彼女に話しかけ続けるのだった。
やがて、ハンナの心に少しずつ変化が現れる。

<作品解説>
「死ぬまでにしたい10のこと」で、個人的にサラ・ポーリーが淡々としすぎた印象を持ったんですが、本作は見事でした。
人と関わることを避け、規則正しく生活する主人公ハンナ。真面目すぎるが故に休暇を取らされ、大けがの為に動かすことの出来ない男ジョゼフの看護をすることになります。
彼女を合わせてもわずか8人ほどしかいない、作業の中断した油田掘削所…それぞれが孤独を抱えている中で、ハンナとジョゼフはなんて事のない会話を続けていきます。
ジョゼフは目が見えないために、彼女の容姿などを想像して話しているのですが、見えないからこそハンナは少しずつ自分の事を語ります。
さて、本作の肝はタイトルにある通り心に秘めた…他人には簡単に語ることの出来ない秘密が出てくるわけですが、これが終盤に語られるくだりは何とも言えない切なさがこみ上げてくる名シーンです。
シナリオとしては、そこにいたるまでの前フリがほんの少しずつでしか出てこない、さらに回想シーンが全くないのがすごい。見ている側は登場人物達の依存するのではなく「客観的に共感」してしまいます。
つまり秘密は秘密であり続け、それがどのような大きさであろうとも、どんな話しであろうとも、ハンナが語りかける相手はジョゼフであり、観客である…その瞬間が本作のテーマになります。

<見どころ>
中盤くらいまで、見事なまでに無表情なハンナ役のサラ・ポーリー。
終盤になってその表情がフッとほぐれるんですが、これがとても良い。
それとは対照的に、彼女が語る「秘密」のくだりは思わず泣けてきます。

<出演者>
「死ぬまでにしたい10のこと」が個人的には今ひとつでした。というのも、サラ・ポーリーの演技がイマイチ乗り切れていない感じがした為ですが、本作は見事。
ジョゼフを演じるティム・ロビンスはユーモアとも言える減らず口を叩きつつ、静かにハンナを受け入れるシーンははまっていました。

静かな作品ですが、心に仕舞い込んだ秘密そのものをうまく描いた名作です。
序盤と最後のナレーション、ラストが些か蛇足気味の気がしましたが、それを補って余りあるシナリオの秀逸さと演技力を感じさせてくれます。

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by syosei7602 | 2007-10-30 23:26 | ヒューマン/ドラマ
アウトブレイク
d0030824_1122552.jpg『OUTBREAK』 アメリカ/1995
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
出演:ダスティン・ホフマン レネ・ルッソ モーガン・フリーマン
    ケヴィン・スペイシー キューバ・グッディングJr
    パトリック・デンプシー ドナルド・サザーランド ゼイクス・モカエ



実に4人のオスカー俳優が共演したパニック映画。
エボラ出血熱の事件を元にした作品である。
監督は「ポセイドン」のウォルフガング・ペーターゼン。
出演は「ミート・ザ・ペアレンツ2」のダスティン・ホフマン、「リーサル・ウェポン」シリーズのレネ・ルッソ、「ミリオンダラー・ベイビー」のモーガン・フリーマン、「スーパーマン リターンズ」のケヴィン・スペイシー、「ザ・エージェント」のキューバ・グッディングJr、「メラニーは行く!」のパトリック・デンプシー、「プライドと偏見」のドナルド・サザーランドなど。

<あらすじ>
米国陸軍伝染病医学研究所のレベル4研究チームのリーダーであるサム(ダスティン・ホフマン)は、アフリカ奥地でエボラ出血熱を上回るウィルスが猛威を奮っているとの報せを受け、現地に飛ぶ。
ウィルスが広がる恐れがあると判断したサムは、指揮官のフォード准将(モーガン・フリーマン)に警戒態勢を敷くように進言する。しかし、フォード准将はそのウィルス「モタバ・ウィルス」の研究を中止するように言い、村を爆弾によって消滅させてしまう。
だが、ウィルスは一匹の猿に感染し、その猿はアメリカに密輸されていた。
それを境に、カリフォルニア州のシーダー・クリークという町で、住民たちの間に伝染病が発生してしまう。
サムは上の命令を無視し、民間の研究機関である疫病管理予防センター(CDC)で働く別れた妻のロビー(レネ・ルッソ)と共にウイルスの制圧に取り組むのだが…。

<作品解説>
監督のペーターゼンの手堅い演出と、演技派が揃った秀逸な作品です。
エボラ出血熱を題材にし、その原因が意外なところにあるというサスペンス要素も含んでいます。
近年でもO-157を始めとするいくつかのウィルスや、結核の新たな耐性菌が発見されたりしています。絵空事では済まされない題材を、エンターティメント性たっぷりに描いているのは見事。
しかし、ハリウッド的な展開も多く、病原菌による怖さが住民達の死でしか描かれなかったり、主人公サムと軍の確執に大きく時間を割いてしまったのは残念です。
されど質の高さと、緊張感ある展開が楽しめるので押えておきたい作品ですね。

<見どころ>
これはもう各俳優陣の演技と、流れるように進むストーリー。
科学的根拠に裏付けされた病気が進行していくシーンは怖い。

<出演者>
ダスティン・ホフマン、モーガン・フリーマン、ケヴィン・スペイシー、キューバ・グッディングJrのオスカー俳優、そして名優ドナルド・サザーランド。
これだけ揃えば言うことないですね。
レネ・ルッソは当時もっとも力のある女優でしたが、今はあまり見かけないのが残念。

面白さもさることながら、やはり現実味のある展開がある作品として完成度は高いです。
ハリウッド的なクライマックスだけが勿体ないですが、パニック映画としては小粒ながらもしっかしとした作品に仕上がっています。

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by syosei7602 | 2007-09-06 23:12 | ヒューマン/ドラマ
アカルイミライ
d0030824_23325.jpg『BRIGHT FUTURE』 日本/2002
監督:黒沢清
出演:オダギリジョー 浅野忠信 藤竜也 笹野高史 白石マル美
    りょう 加瀬亮 小山田サユリ はなわ 森下能幸 佐藤佐吉
   小南千明 沢木哲 笠原秀幸 永井有司 三嶋啓介 渡辺琢磨
受賞:日本映画プロフェッショナル大賞/
                  作品賞・監督賞・主演男優賞(2003)

夢で未来を見ることが出来る青年が、あるきっかけで変わっていく様を描くドラマ。
監督は「叫」「CURE」の黒沢清。
2003年度、カンヌのパルムドールにノミネートされた。
出演は本作で映画初主演をつとめた「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」のオダギリジョー、「座頭市」(2003)の浅野忠信、「海猿 ウミザル」の藤竜也、「寝ずの番」の笹野高史など。

<あらすじ>
おしぼり工場で働く仁村(オダギリジョー)は、夢で未来が見える力を持っている。
人とうまく付き合うのことの出来ない彼は、同僚で唯一の友人の有田(浅野忠信)と、平凡な毎日を過ごしていた。
彼の無鉄砲な性格を懸念した有田は、2人だけのサインを提案する。最初は渋々だった仁村だったが、いつの間にかそれを受け入れていた。
そんな2人を工場の社長(笹野高史)は、なぜだか気に入っていた。
ある日、突然有田の家にやってきた社長は、有田の飼っていた猛毒を持つクラゲを触ろうとしてしまう。なんとか事なきを得たそのあと、有田は仁村にクラゲを託す。
その直後、有田は工場を辞めて忽然と姿を消し、さらに仁村も社長からクラゲの毒の事を問いただされ、工場を辞めるのだった。
仁村は、社長に貸していたCDを取り返す為に家に向かうが、その途中行き場のない怒りで鉄棒を手にするが…。

<作品解説>
人付き合いの悪い青年・仁村と、表面は穏やかで内に鬱屈した思いを秘めた青年・有田、この2人の生活からストーリーが始まります。
仁村は自分の中にある苛立ちを隠すことのできない性格で、些細なことでも喧嘩を始めてしまう。対照的に、仁村を抑える役目は有田となるんですが、日頃から細かく鬱憤を晴らしている人間よりも、他人の暴力性に寛容である人間の方が爆発したときに怖い。
本作ではその怖さが序盤に持ってこられ、抑制を失った仁村はただひたすらクラゲの世話をすることで現実世界をつなぎ止めようとします。
クラゲは彼にとって媒介であり、彼の存在意義でもあるんですが、わずかなほころびからそれすらも失くしかけます。
自分の進むべき道をもてない仁村、既に進みきってしまった有田、そして現実に一番目を向けている有田の父親…クラゲはこの3人のそれぞれの在りようを示し、媒介としてストーリーテラーとしてストーリーを引っ張っていく、この構図が実におもしろい作品です。

<見どころ>
ゆらゆらと漂うクラゲ、オダギリジョーの顔の変化、独特の映像センスなど全体としての見方はあるのですが、どこか特定の部分をして「見どころ」があるとは言えないですね。
ただ、クラゲの美しさはなかなかのものでした。
固定カメラを多用した撮影もうまい。

<出演者>
オダギリジョーが終始奇抜なファッションで登場(若干、浮浪者っぽい…)。
初主演とは言いながらも、本作での存在感が良い。
しかし、それ以上に浅野忠信が引き立っていました。役どころが良すぎですよ。
藤竜也の渋みがありながらも、きっちりと見せる演技力には参りました。
ところで、オダギリジョー演じる仁村の妹の彼氏は“はなわ”なんですね~ちょっと驚きです。

映像的な目新しさはないものの、社会の極論を切り取った作りと、メタファーとしてのクラゲの存在などシナリオと演出のうまさが綺麗に同居しています。
オダギリジョー、浅野忠信のファン映画というにはあまりにも勿体ない良作です。

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by syosei7602 | 2007-05-09 23:59 | ヒューマン/ドラマ
セント・オブ・ウーマン/夢の香り
d0030824_4182180.jpg『SCENT OF A WOMAN』 アメリカ/1992
監督:マーティン・ブレスト
出演:アル・パチーノ クリス・オドネル ジェームズ・レブホーン
    ガブリエル・アンウォー フィリップ・S・ホフマン
    リチャード・ヴェンチャー サリー・マーフィ
受賞:アカデミー賞/主演男優賞(1992)
    ゴールデン・グローブ賞/作品賞・男優賞・脚本賞(1992)

「ミッドナイト・ラン」のマーティン・ブレスト監督が、ユーモア溢れる爽やかなタッチで描いたヒューマンドラマ。
本作でアル・パチーノは初のオスカーに輝いた。
出演は「リクルート」のアル・パチーノ、「バーティカル・リミット」のクリス・オドネル、「リプリー」のジェームズ・レブホーン、「三銃士」のガブリエル・アンウォー、「カポーティ」のフィリップ・S・ホフマンなど。
アル・パチーノによる盲目の演技が圧巻である。

<あらすじ>
全寮制の名門校ベアードに通うチャーリー(クリス・オドネル)は、育英金を貰って勉強する日々。感謝祭の休暇、裕福な友人達は家族旅行に出かけていくが彼はアルバイトを申し込む。
それは盲目の退役軍人フランク中佐(アル・パチーノ)の世話だった。
フランクは、チャーリーに対して居丈高な態度をとり、それほど強気ではないチャーリーは臆するが、中佐の家族にどうしてもと頼まれ否応なしに引き受ける。
休暇直前の夜、チャーリーと友人ジョージ(フィリップ・S・ホフマン)は学校で街灯にイタズラを仕掛けている友人3人を見かけるが、先生が現れた為になんとか誤魔化す。しかし、そのイタズラは次の日校長(ジェームズ・レブホーン)を侮辱する事へと繋がり、怒った校長は2人に犯人を教えろと迫る。
学友を裏切れないチャーリーは、頑なに拒むが大学進学の学費の問題をちらつかされ、答えの期限を休暇明けにするようにと約束させられてしまうのだった。
落ち込むチャーリー、そんな時フランクは半ば強引に彼を連れてニューヨークへと向かう。
ファーストクラス、豪華な食事等に驚くチャーリーに、フランクは自らの計画を伝えるのだった。

<作品解説>
アル・パチーノが7度目のノミネートでようやくオスカーを手にした作品です。
監督のマーティン・ブレストの代表作といえば「ミッドナイト・ラン」、そして本作となります。
小気味よい展開で長さを感じさせない作り、所々に差し挟まれるユーモアや主人公チャーリーとフランクの駆け引きなど、一風変わったバディムービーと言えるでしょう。
目が見えない事に対して嘆くよりも強がりを言い続けるフランク、そんな彼に対して心優しきチャーリーは我慢強く、時には感情を爆発させていきます。
年長のフランクよりも高校生のチャーリーの方が人間的に落ち着いているというギャップがおもしろいのですが、本作ではそのギャップを活かしつつもフランクの年の功とも言うべき展開があり、結果として友情へと繋がっていくわけです。
人の価値を決めるその瞬間、未来と過去という相対的な関係、決して譲る事の出来ないプライド、そんな人生における岐路が描かれた傑作といえるでしょう。
それにしても香水の匂いで女性を褒めていくシーンは見習いたいもんです。

<見どころ>
視覚障害者を演じるアル・パチーノですが、目をカッと見開いてほとんど動かない!
これには驚きですね。まばたきすらもわからないくらいで、その状態でガブリエル・アンウォーとタンゴを踊るシーンがあるんですが、非常に美しい。
そしてクライマックス、些かアメリカ的過ぎるきらいもあるけれど、これ無くしては語ることのできないほど、印象に残る名シーンですね。

<出演者>
髪型をピシッと決め、クールに装うアル・パチーノは文句なしに格好いい。
それに対して青臭さが残るクリス・オドネルは、まさに対照的なチャーリーを好演しています。
わずかな登場シーンながらタンゴを踊ったガブリエル・アンウォーの美しさ。
とても綺麗な女優さんですが、本作で注目されたものの活躍の場はあまりなくて残念な限り。
フィリップ・S・ホフマンの学生姿はなんか笑える…。

マーティン・ブレスト監督は「ジーリ」以来作品がないんですが(「ビバリーヒルズ・コップ」「ジョー・ブラックをよろしく」など秀作があるにも関わらず)、また本作のような作品を撮って欲しいですね。

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by syosei7602 | 2007-05-03 04:18 | ヒューマン/ドラマ
バベル
d0030824_143111.jpg『BABEL』 アメリカ/2006
監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演:ブラッド・ピット ケイト・ブランシェット
    ガエル・ガルシア・ベルナル 役所広司 菊地凛子 二階堂智 
    アドリアナ・バラーザ エル・ファニング ネイサン・ギャンブル
受賞:アカデミー賞/作曲賞(2006)
    カンヌ国際映画祭/監督賞(2006)他

公開時コピー
神は、人を、分けた。

「アモーレス・ペロス」「21g」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督によるヒューマンドラマ。鑑賞についての2点ほど注意が必要である(点滅の激しいシーンがあるため、気分が悪くなることがある。また、かなりシリアスな話しであるため、菊池凛子のアカデミー賞ノミネートという話題先行で観ると落ち込むかもしれない)。
出演は「Mr.&Mrs.スミス」のブラッド・ピット、「ライフ・アクアティック」のケイト・ブランシェット、「アモーレス・ペロス」のガエル・ガルシア・ベルナル、アドリアナ・バラーザ、「THE有頂天ホテル」の役所広司、「茶の味」の菊池凛子、「ラストサムライ」の二階堂智、ダコタ・ファニングの妹のエル・ファニングなど。

<あらすじ>
●モロッコ編
砂漠を1台の観光バスに乗るアメリカ人夫婦リチャード(ブラッド・ピット)とスーザン(ケイト・ブランシェット)。
その時、一発の銃弾がスーザンの肩を貫く。撃ったのは近辺に住む2人の兄弟だった。
一番近い診療所まで1時間半かかる事を知ったリチャードは途方に暮れる。
ガイドは自分の村が一番近いと話し、とりあえず向かうのだが…。
●メキシコ編
リチャードとスーザンの幼い息子マックス(ネイサン・ギャンブル)と娘デビー(エル・ファニング)の子守アメリア(アドリアナ・バラーザ)は、リチャードからの連絡を受けて困惑していた。
その日は息子の結婚式のため、メキシコに行かなければならないが代りの子守が見つからない。仕方なしに、アメリアは甥サンチャゴ(ガエル・ガルシア・ベルナル)に頼んでマックスとデビーを連れてメキシコに向かうのだった。
●日本編
聾唖の女子高生チエコ(菊池凛子)は母親が自殺をして以来、喪失の日々に暮れていた。
満たされない気持ちに苛立ちを覚え、父親(役所広司)にも喧嘩腰で話しかける。
そんな時、自宅のマンションの入り口で2人の警察官に話しかけられるのだった。

<作品解説>
オスカーの行方が注目された本作、相変わらず人間の深層心理を描くことに長けたイニャリトゥ監督ならではの作りでした。
1挺のライフルから始まり、わずか5日間のストーリーが展開されるのですが、映像の流れは時系列ではなく(1つひとつのエピソードは時系列通り)、その時の心理的状況に合わせて切り替わっていきます。
流れとしてはモロッコ>メキシコ>日本、直接的な関わりが存在するのはモロッコとメキシコであり、その隙間を埋める間接的な形で日本編が存在します。
タイトルであるバベルは、旧約聖書に出てくる人間が神に近づくために作り上げた塔と、その行為に怒った神が人々と言葉を分けた事に由来します。
モロッコ編では、妻を撃たれたリチャードが助けたい一心で近くの村でとりあえず応急処置をします。されど、その過程で一緒に観光バスに乗っていた客達は自分たちも撃たれるのではないかという恐怖に怯えて2人を置いて一刻も早く逃げようとします。
自分たちの国ではないという不安感から、同じアメリカ人なのに通じない思いが辛く苦しい展開を見せます。
メキシコ編、一転して結婚式という人生の中で幸せな一面が描かれるパート。
子守のアメリアは、マックスとデビー2人に対して惜しみなく愛情を注いでいますが、リチャード達が帰って来られない事から、仕方なしにメキシコに連れて行きます。
されどこの行動が後々になって、彼女自身に思いもかけない出来事を引き起こします。
日本編、少々過剰な描き方をされているストーリーなんですが、飽和した先進の街並み(主に渋谷)と音の無い世界、言葉が不自由な為に直接的に伝えることの出来ない難しさ、それ故に引き起こされる女子高生チエコの寂しさ。自分の存在意義を求めて、チエコはそれを受け止めてくれる人を探し続けます。
普段は意識することのない言葉の壁、言語が違うという意味のみならず、本当の気持ちを伝えることの難しさ、差別や偏見、人との繋がりは呆気ないほど簡単に途切れてしまいます。
それでも人は誰かを必要とし、言葉だけでは伝わらない想いというもの、本作はラストでそれを見事に表わしています。

<見どころ>
エピソードが繋がっていく展開は「アモーレス・ペロス」が断然良いのですが、時系列をバラバラにしながらも最初と最後の決まり具合が見事でした。

<出演者>
ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット共に演技派としても評価が上がっています。本作ではすでに冷め切った夫婦を演じているのですが、特にブラッド・ピットは二枚目俳優から脱却しつつあり、本作での評価は個人的には高いですね。いいですよ、彼は。
もっとも、それ以上に見事なのはモロッコの2人の少年。弟役の方は二宮和也に似てます(笑)。でも、あの歳でオナニーシーンは…ある意味凄い。
メキシコ編では、ガエル・ガルシア・ベルナルがほとんど端役。アドリアナ・バラーザ演じるアメリアは、優しい目をした女優さんながら感情的に演じる様はさすがといったところ。
日本編、噂になった菊池凛子のヌードシーンもありますが、彼女のうまさというのは当然の事ながら、演技でありヌードシーンなわけじゃありません(そもそもヌードなんてハリウッド女優でも大抵ありなんだから、大したことではない)。
言葉を話せないもどかしさ、聞こえない辛さ、つまり他人とは共有出来ない彼女だけにしかあり得ない世界にあって、その世界を表現された上での帰結が行動に繋がるわけです。ディスコシーンで表情が変わっていくところはうまかった(激しく点滅を繰り返すライトの中で、ちょっとずつ顔が変わっていくんですが、ここは目が疲れるので要注意です)。

作品としての完成度は高いんですが、見る人を選ぶのも確か。
いわゆるエンターテイメントとして楽しめるわけでも、笑えるわけでもない。極めてシリアスであり、社会の一面を描いた作品に他ならないのです。
人物の描写は、浅すぎず深すぎず、観ている側は常に第3者の立場であることを忘れないのです。これはとても大切なことなんですが、本作は1つの事象が引き起こす悲劇の連鎖であると共に「誰にでもありうる」物事の1つの例え話です。
言葉が通じても喧嘩をする、言葉が通じなくてもわかりあえる…人は自分勝手だけれども、大切だと想うものを決して手放してはいけない…そんな愛情を描ききった作品といえるでしょう。

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by syosei7602 | 2007-05-02 13:08 | ヒューマン/ドラマ