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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン_d0030824_124595.jpg『I COME WITH THE RAIN』 フランス/2009
監督:トラン・アン・ユン
出演:ジョシュ・ハートネット 木村拓哉 イ・ビョンホン
トラン・ヌー・イェン・ケー ショーン・ユー イライアス・コティーズ
ユウセビオ・ポンセラ サム・リー



公開時コピー
男たちの運命は、
美しく、そして切ない…


「青いパパイヤの香り」「シクロ」のトラン・アン・ユン監督による、キリストの受難をテーマに据えたミステリー。
出演は「ラッキーナンバー7」のジョシュ・ハートネット、「HERO」の木村拓哉、「甘い人生」のイ・ビョンホン、「シクロ」のトラン・ヌー・イェン・ケー、「インビジブル・ターゲット」のショーン・ユー、「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のイライアス・コティーズなど。
音楽はレディオヘッド。

<あらすじ>
アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン_d0030824_1251346.jpg元刑事の探偵クライン(ジョシュ・ハートネット)は、世界的な製薬会社の創立者で大富豪の男から息子・シタオ(木村拓哉)の行方を捜して欲しいと依頼される。
シタオの足取りが消えたフィリピンから香港へと調査の足を伸ばしたクラインは、友人の刑事メン・ジー(ショーン・ユー)に手がかりを求める。
その頃、韓国マフィアのボスであるドンポ(イ・ビョンホン)の元でトラブルが起き、ドンポの恋人リリ(トラン・ヌー・イェン・ケー)がさらわれてしまう。
海の側の荒れ地で乗り捨てられた車と誘拐犯の死体、そこに残っていた小屋と車のドアの指紋はシタオのもアイ・カム・ウィズ・ザ・レイン_d0030824_125236.jpgのだった。クラインはメン・ジーの協力でアパートを借りると、本格的に調査を始める。
しかし、クラインは刑事時代に追っていた連続殺人犯ハスフォード(イライアス・コティーズ)の手がかりを掴む為に精神を“同化”させてしまい、その時のトラウマから今でも逃れられずにいた。
シタオの行動、ドンポの恋人の行方、クラインのトラウマ、それらはいつしか絡み合っていくが…。

<作品解説>
「ノルウェイの森」を撮影中の話題の監督であるトラン・アン・ユン。
そして、ハリウッド、韓国、日本の有名俳優による共演…これだけ書けば、客寄せパンダは十分な作品です。
トラン監督の作品数は多くないものの、常に一定のレベルを維持している為、あちこちで酷評されていようとそれなりなはずという期待を抱いて見てみました。
結果、見る人を選ぶけどやっぱりこの監督の感性は凄いなというのが正直な感想。娯楽作とは言えないし、やたらと血みどろだし、妙に裸が出てくるし、相変わらずカメラワークは官能的。
さて、肝心のシナリオは普通に見ると「なんだこりゃ?」の世界、じっくり集中するとおぞましいほどに人間の性が描かれています。
トラウマを克服できないクライン、愛人に固執するドンポ、苦しみと許しを持つシタオ、恐怖と愛と受容(あるいは許容)とでもいうべきか…そしてストーリーに直接関わってくる女性は1人のみ。
この女性、すなわちドンポの恋人であるリリの存在がポイントです。
彼女は受難そのものであり、同時に愛の対象でもある…つまり、彼ら3人の中ではバランスをとる役目なんですね(こればっかりは見ないとわからない点です)。
また、彼女以外に登場する女性はわずかなものの、トラン監督ならではのエロティシズムで男女の関係が描かれています。
映像と音楽は秀逸、当初は香港が舞台だとは知らなかったんですが、特有の雑踏感と同時にノワール的なテイストがたっぷり含まれています。
キャスティングの話題が先行していますが、キャストのファンというノリだけで行くと確実に痛い目を見る作品。
かなり気合いを入れて見ることをオススメします。

<見どころ>
クラインと連続殺人鬼ハスフォードの対決。
おぞましいオブジェの数々。
ほとんど悪夢ともいえるような映像は凄まじいですね。

<出演者>
ジョシュ・ハートネット、トラウマにのたうち回るクラインを熱演しています。
この人は普通に格好いい。
木村拓哉は日本のドラマではほぼ主役として出てくるために、演技の幅の狭さにがっかりな感じですが、本作はかなりいいですね。このくらいの役柄だとかなり映えます。
でもシタオって名前はどうかと思いますが。
イ・ビョンホンは役柄がはまっていました。
この人は男前ってわけじゃないですが、雰囲気がうまくまとわりついている気がします。
ショーン・ユーは意外なキャスティング。
トラン・ヌー・イェン・ケーは監督の奥さんで、監督作では全て出演しています。
うまいんですけどね、ちょっと違うよなぁ、今回だけは。
唯一のミスキャストって感じでした。

<総評>
日本の宣伝の仕方がどうしても木村拓哉を中心にしてますが、これは良くない。
先入観で見ちゃうと、ほとんどの場合「ちょっと気持ち悪いかも」という感想が大半でしょう。
キリストの受難を題材にしていますが、ハリウッド映画では大量に使われているネタなので、宗教観について考えなくても普通に見られます。
駄作とみるか良作と見るか、個人的には後者ですね。
久々に重いパンチを持つ映画でした。

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by syosei7602 | 2009-06-12 23:59 | ミステリ/サスペンス
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