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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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真・女立喰師列伝
真・女立喰師列伝_d0030824_182099.jpg『真・女立喰師列伝』 日本/2007
監督:押井守 辻本貴則 神山健治 湯浅弘章 神谷誠
出演:ひし美ゆり子 吉祥寺怪人 鈴木敏夫 水野美紀 辻本一樹
川本淳市 安藤麻吹 神山健治 渡辺聡 藤田陽子 和田聰宏
若松武史 小倉優子 池内万作 佐伯日菜子 兵藤まこ
声:内田夕夜


公開時コピー
生きるために、喰う。

「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の押井守監督が独自に作り上げた、立ち食いの無銭飲食=立喰師をモチーフにしたオムニバス作品。
監督は押井守、「ハード・リベンジ、ミリー」の辻本貴則、TVシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」の神山健治、デビューとなる湯浅弘章、「日本沈没」の特撮監督の神谷誠。
出演は「シルバー假面」のひし美ゆり子、「ハード・リベンジ、ミリー」の水野美紀、「精霊の守り人」の安藤麻吹、「人のセックスを笑うな」の藤田陽子、「soeur スール/TWILIGHT FILE IV」の小倉優子、「ハミングライフ」の佐伯日菜子、「立喰師列伝」の兵藤まこ。

<あらすじ>
●金魚姫 鼈甲飴の有理
巧みな話術、胸の金魚の刺青を武器に、縁日の飴屋に挑んでは飴を全部持っていくという伝説の女立喰師・鼈甲飴の有理(ひし美ゆり子)。フリーカメラマンの坂崎(吉祥寺怪人)は、引退してしまった彼女の足跡を追い、雑誌『戦後思想』編集長の鈴木敏夫に会いに行く。

●荒野の弐挺拳銃 バーボンのミキ
砂嵐吹きすさぶアリゾナ州ジャップタウン、街のバーでミキ(水野美紀)という流れ者の女ガンマンが常連客とバーボンの飲み比べをしていた。悪酔いした客の1人がミキに絡んでくるが、彼女は銃で脅して引かせる。
それを見ていたのは保安官のフランコ(辻本一樹)と助手のヒロ(川本淳市)。
自動式拳銃は違法だと難癖を付けるが、「男には負けない!」と言うミキは勝負を挑む。ミキは「早撃ちのミキ」と呼ばれる、名うてのガンマンだったのだ。

●Dandelion 学食のマブ
1981年。予知野屋とロッテリアの店長だった神山(神山健治)は、立喰師達と壮絶な戦いを繰り広げて身も心も疲れ果てていた。彼は立喰師がやってくることがないファミレスの店長となる。
休み明けに出てきた店で、店員からいつも午後0時にきてコーヒー一杯で粘っては、難癖を付けて出て行く女がいると聞いた。そして0時に女はやってきた。
それは神山の学生時代のクラスメートで、男子学生から学食をタダ喰いしていた“学食のマブ”(安藤麻吹)だった。神山の胸に過去の記憶が蘇るが…。

●草間のささやき 氷苺の玖実
大人の背丈も超えるほどにのびたトウキビ畑。終わりがあるともしれないその畑に、菓子業者の男達を妖艶な魅力で引き込む玖実(藤田陽子)がいた。彼女が狙うのは金銭ではなく、なぜか菓子ばかりだった。
ある日、氷売りの青年・由起夫(和田聰宏)が通りかかり、いつものように玖実は妖艶な笑みを浮かべるが、何故か氷菓子を受け取らずに消えてしまう。彼女を追った由起夫だったが、それは悲劇の始まりに過ぎなかった。

●歌謡の天使 クレープのマミ
1985年、東京・原宿。若者の中心だった竹下通りを外れた一角に、流行っていないクレープ屋があった。
店長の岡林(池内万作)は日がな一日テレビを見る日々。
ある日、アイドルの卵と称するマミ(小倉優子)が現れ、自分が人気が出て売れる前にキャンペーンガールをするといって、クレープを食べている写真を撮らせようとする。わからないままに流された岡林、しかし写真を撮っている最中に謎の男達がマミを追いかけてきたのだ。
呆然とする岡林、その夜、空腹でよろめくマミを救った岡林は彼女からとんでもない話を聞かされるが…。

●ASSAULT GIRL ケンタッキーの日菜子
AD 2052。
地球衛星軌道上を周回する強襲揚陸艦「龍攘 II」から、多数の巨大降下猟兵「FsJ87 "Temjin"(天人)」が地球に向けて射出された。その中の一機に搭乗しているのは、仲間から大佐“カーネル”と呼ばれる、かつてケンタッキーの日菜子(佐伯日菜子)という立喰師だった。
なんとか着陸した日菜子は、砂漠を歩き続ける。

<作品解説>
押井守が自らのライフワークのひとつとしているのが、「立喰師」であり、映像化としての最初の登場は同監督の実写作品「紅い眼鏡」からになります。
「紅い眼鏡」では天本英世演じる立喰師(主にそば屋の立ち食い)が、主人公の都々目に「立ち食い」が法律違反になったというシュールな話をしていました。余談ですが、「紅い眼鏡」はその後「ケルベロス 地獄の番犬」「人狼」というケルベロスサーガの一編として語られることになります。
本作のオープニングは兵藤まこ(ケツネコロッケのお銀)が登場。赤いスカーフをまとっていますが、これは「赤い眼鏡」で出てくるポスターと同じ(「紅い眼鏡」のポスターの美女は兵藤まこ)で、年月をかなり経た続編登場ということですね。
さて、オムニバスということで元の題材は一緒でもかなり自由に作られています。
1.伝説の立喰師を求めるカメラマン、ナレーションと映像だけで美しく撮られています。半ば都市伝説の様な展開がいいですね。
2.日本のアクション女優といえば水野美紀は良い線いっています。華麗なガン捌きが見られる一方、ウケねらいのバー店内の作りや演技は少し辛い。
3.ファミレスで展開する一夜の出来事。実はサスペンスでありながら青春劇もあり…店長を演じる監督の神山健治が怪しすぎる(笑)。
4.本作の中でも出色の出来ともいえます。トウキビ畑という自然でありながら人工的なその世界、男を惑わす妖艶な美女、クライマックスに至るまで見事です。
5.でたらめな近代歴史解釈と陰謀を小倉優子演じるマミが矢継ぎ早に話していくバカさ加減。
アイドル番組の痛い感じが笑えます。
6.いかにも押井守らしいSF作品。
なんかもう、シュールなんだからSFでこんぐらいやんなきゃ的な感じです。
何れの作品も予算の都合で割安感が否めないんですが、やはり「草間のささやき 氷苺の玖実」は抜群でした。立喰師というテーマから、少し離れたところに主眼を置いているというか、女優の魅力が存分に引き出されています。

<見どころ>
各々の作品で異なるのは当然ですが、「立喰師」というものがあって何でもありなところが面白いかと。
なのでどこがどうとは言えません。

<出演者>
ウルトラセブンのアンヌ隊員役として人気を博したひし美ゆり子、アクション女優として少しずつ確立しつつある水野美紀をはじめ、総じて作品規模に比べてレベルは高いかも。
藤田陽子はとにかくいいですね。
小倉優子の意外な出演…というか素みたいなもんでしたが。

<総評>
要するに押井守ワールドなわけです。
押井作品が好きじゃないと受け入れられない世界観、一応区分けとしては「コメディ」に当たるのかな…と考えられます。
他にアニメ版として2作ありますが、果てさてこの「立喰師」サーガはどこまで続くんでしょうか。

<関連作品>
立喰師列伝 (アニメ)
女立喰師列伝 ケツネコロッケのお銀 -パレスチナ死闘篇-
真・女立喰師列伝

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by syosei7602 | 2009-03-15 22:25 | コメディ/パロディ
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