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『WELCOME TO THE QUIET ROOM』 日本/2007
監督:松尾スズキ 出演:内田有紀 宮藤官九郎 蒼井優 りょう 中村優子 高橋真唯 馬渕英俚可 筒井真理子 宍戸美和公 平岩紙 塚本晋也 徳井優 妻夫木聡 大竹しのぶ 声:伊勢志摩 公開時コピー わたしは ここ で 生まれ変わるのだ 芥川賞候補になった同名小説を、著者である「恋の門」の松尾スズキが自ら映像化。 出演は「監督・ばんざい!」の内田有紀、「魍魎の筺」の宮藤官九郎、「百万円と苦虫女」の蒼井優、「西の魔女が死んだ」のりょう、「ストロベリーショートケイクス」の中村優子、「感染列島」の妻夫木聡、「遠くの空に消えた」の大竹しのぶなど。 主題歌はLOVES.の「Naked Me」。 <あらすじ> 28歳のフリーライター、佐倉明日香(内田有紀)は、目覚めると見知らぬ部屋で手足を拘束されていた。 驚く明日香の元にやってきたのは看護士の江口(りょう)と医師の松原(庵野秀明)たち。 その部屋はクワイエットルームと言われる保健室で、明日香のいる病院は女子専用の隔離病棟だったのだ。 なんとか拘束を解かれたものの、担当医と同棲相手の鉄雄(宮藤官九郎)双方の同意がないと退院できないと言われる。 病棟に来なければいけない記憶も原因も思い浮かばない明日香だったが、アルコールと薬の過剰摂取によって運ばれてきたと言われ、さらに自殺の可能性があると言われる。 その事実を否定する明日香。しかし、退院できない故に入院患者の「食べたくても食べられない」ミキ(蒼井優)や、元AV女優で過食症の西野(大竹しのぶ)といった面々と出会い、少しずつ隔離病棟の不条理な世界を理解していく。 そんな時、売れっ子放送作家でもある鉄雄が来られなくなり、鉄雄の子分であるコモノ(妻夫木聡)がやってくるのだが…。 <作品解説> どうしても異質の世界とも言うべき「精神病棟」をコメディタッチに描いた作品。 松尾スズキのぶっとんだ世界観…と思ったら、実は意外とまともな作品で、コメディというにはちょっと厳しいものがあります。いや、笑えるところもあるけど、テーマがテーマなだけに結構ブラックな展開ですね。 内田有紀の9年ぶりの主演作ながら、よくもまあここまでダークなテーマを選んだなぁと、思わず感心しちゃいます。 さて、世間的にはどうしても色眼鏡で見てしまいがちな精神病院。 主人公の明日香はオーバードーズで記憶がぶっとんで運ばれてきます。 自分がなぜ運ばれてきたのか、なぜこの場所にいなければならないのか、自分にはするべき仕事があるのになぜ…等々、明日香は疑問だらけで悩みます。 しかしその悩みの大半は「ここにいる人と自分は絶対に違う」という考え。 実はこの考え方には根拠なんて何一つなく、自分がまともであるということを他人に証明するのは、思っている以上に難しいことです。 本作のテーマはまさにその部分にあり、明日香は他の入院患者と接していくことで自分に内包されている闇の部分を探り出していきます。 この探り出す部分が明確になるシーンはすなわちクライマックスであり、かなりヘビーな内容。 人によっては受け付けないシーンですが、実は本作のストーリーが全て社会の縮図であり、決して離れられないしがらみなわけです。 全体の出来はかなり馬鹿げたシーンが多いのですが、なかなか深いところを突いた作品です。 <見どころ> 入院患者や医師、その他の脇役に色々と有名な人たちが登場しています。 クライマックスの記憶が繋がるシーンはかなりきてますね…。 <出演者> 内田有紀、かなり好きな女優です。 いやもう「時かけ」からこの人のショートヘアが目に焼き付いて…それとは関係なく好演してます。 クドカンは個性爆発。いつも気になりますが、歯は治した方が良いかと。 蒼井優はいつものファニーフェイスから、眉毛をキリッと揃えて髪を編み込んでいるので大分雰囲気が違いました。それでさらに演じ切っちゃうところが凄い。 りょうは意外と見せ場が少なく、1人笑いに徹した妻夫木聡に持ってかれた感。 妻夫木聡にはもっとこういう役をしてほしいですね。 大竹しのぶはもう、濃いです。 怖い女優さんだなぁ~。 <総評> 監督の松尾スズキの個性が発揮されているので、人によっては受け付けないでしょう。 ただし、意外と丁寧に描かれていたり、単なるコメディとしてではなくヒューマンドラマとしても完成度は高いので、思った以上に楽しめる作品です。 よろしければクリックお願いします。
by syosei7602
| 2009-02-25 23:57
| ヒューマン/ドラマ
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