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『THE ROAD HOME』 中国・アメリカ/1999
監督:チャン・イーモウ 出演:チャン・ツィイー チョン・ハオ スン・ホンレイ チャオ・ユエリン 受賞:ベルリン国際映画祭/審査員特別賞(2000) 「HERO」のチャン・イーモウ監督によるロングランを記録したラブストーリー。 出演は「LOVERS」のチャン・ツィイー、「セブンソード」のスン・ホンレイなど。 <あらすじ> 都会に働きに出ているユーシェン(スン・ホンレイ)は父親が急死したとの報せを受けて、数年ぶりに村へ帰ってくる。 母親ディ(チャオ・ユエリン)は、真冬の中、父親が教師をしていた学校の前に2日ほど座り込んで呆然としていた。 ユーシェンは、なんとかディを家に連れ戻すと彼女は父親の遺体を安置してある町から担いで村に連れて帰りたいと言い、さらに壊れた機織り機を直して棺にかける布を織り始める。 棚に置いてある新婚当初の写真を見たユーシェンは、昔聞いた2人のなれそめを思い出していた。 約40年前、18歳のディ(チャン・ツィイー)が住む村に教師としてやってきた20歳のチャンユー(チョン・ハオ)。ディは彼を見た瞬間一目惚れをしてしまうのだった。 <作品解説> チャン・イーモウ監督がチャン・ツィイーを主演に抜擢したストレートなラブストーリー。 これほどまでに真っ直ぐな寄道のない作品も珍しいといえます。 モノクロのプロローグから始まり、この時点で既にこれから語られる恋物語がハッピーエンドであることが示唆されています。 時代はストーリーから文化大革命の直前1960年代くらいかと思われます。 文革では知識人に対する弾圧が行なわれ、本作でもその一部が垣間見られます…というよりは、この文革をある程度認識していないと物語の大枠が単純なラブストーリーとしか認識できないんですね。 主人公のディが一目惚れをして、後に結婚することになる教師チャンユーは、正直なところ男前とは言い難いのです。しかし、文盲である人々にとって彼は若き知識人であり、村人とは異なった雰囲気を持っています。時代背景を鑑みればディがチャンユーの持つ雰囲気に一目惚れしたとしても不思議ではないのかもしれません。 祖母と2人暮らしのディは、わずかに交わした言葉から待ち続けます。これ以上ないというくらいに真っ直ぐにしか見ることのできない想いを、わずかなセリフと表情、そして風景が語っていく様はとても美しい。 会話もほとんどなく、恋敵も悪人も出てこないという、映画作品としては不完全な体裁です。 しかし驚くほどシンプルなシナリオは、見る側も正面から受け止めるしかできない故に成功した希有な作品です。 <見どころ> ディを演じるチャン・ツィイーの可愛さは言うに及ばず、しかし見るべきは彼女が常に分厚い服を着ているところにあります。 女優の表情で勝負するためなのか、体のラインを打ち消した衣裳選択は見事。 そして、美しい風景描写は言うに及ばず。 <出演者> チャン・ツィイーは本作で人気を博し、続く「グリーン・デスティニー」ではハリウッド女優の仲間入りを果たしました。 セリフではなく、とにかく表情で勝負が後の作品に良い影響を与えています。 チャンユー役のチョン・ハオは本作以外ではわからないのでなんとも言えませんが、選択としては間違っていなかったですね。これが男前過ぎたら単なるつまらない美男美女の物語になってしまったでしょう。 息子役のスン・ホンレイ、チャオ・ユエリンはプロローグとエピローグの短いシーンでもきっちりとした演技を見せてくれます。 <総評> 邦題は「初恋」とありますが、原題は訳すと「帰り道」。 恋愛は本作の大きなテーマですが、実は「帰る場所」があるという意味を踏まえると「道」がテーマなのかもしれません。 ストレートすぎるきらいはありますが、何も考えずに見るとシンプルに感動できる作品です。 よろしければクリックお願いします。
by syosei7602
| 2007-12-25 23:15
| 恋愛/青春/スポーツ
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