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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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リリィ・シュシュのすべて
リリィ・シュシュのすべて_d0030824_2132097.jpg『ALL ABOUT Lily Chou-Chou』 日本/2001
監督:岩井俊二
出演:市原隼人 忍成修吾 蒼井優 伊藤歩 勝地涼 五十畑迅人
    郭智博 田中丈資 土倉有貴 南イサム 吉岡麻由子
    細山田隆人 田中要次 大沢たかお 稲森いずみ



「スワロウテイル」「花とアリス」の岩井俊二監督による衝撃作。
元々はBBSの一般参加者との会話から生まれたネット小説である。
音楽は小林武史。
出演は「虹の女神 Rainbow Song」の市原隼人、「アキハバラ@DEEP」の忍成修吾、「ハチミツとクローバー」の蒼井優、「親指さがし」の伊藤歩、「亡国のイージス」の勝地涼、「7月24日通りのクリスマス」の大沢たかおなど。

<あらすじ>
女性アーティスト“リリィ・シュシュ”に心酔する蓮見雄一(市原隼人)は、中学に入学した直後に優等生の星野修介(忍成修吾)と仲良くなる。
剣道部の新入生同士でつるんでいたが、夏休みに沖縄旅行にどうしても行きたくなった彼らは金持ちの男から大金をカツアゲしている学生から金を奪い取る。
万事調子よく、沖縄の西表島に向かった彼ら。
しかし、そこで星野は二度生死の境を彷徨う。さらに知り合ったバックパッカー(大沢たかお)が交通事故であっけなく死ぬのを目の当たりするのだった。
二学期、星野は変貌しクラスを仕切っていた不良を潰す。
常軌を逸し始めた星野の矛先はやがて蓮見にも向けられていく。蓮見はその辛さを自ら立ち上げた“リリィ・シュシュ”のファンサイトに吐露していくが…。

<作品解説>
岩井俊二が本作を「遺作にするなら、これを」という程に、本作は14歳という多感な少年少女の心情を鮮烈に、熾烈に描いています。
夏休みを境にして、変化するのは思春期によくある話しなんですが、本作では極端なほどにえげつなく、イジメ、万引き、暴行、自殺、そしてラストには明確な答えなどなく、観客に委ねられます。
キーワードとなる“リリィ・シュシュ”は、主人公が唯一現実を観ることができるフィルターのようなもので、自分の存在価値をそこに見い出しているんですね。
そしてイジメの中心人物となる星野もまた、行き場のない自分自身の心をイジメで消化しようとあがき続けます。
かなりえげつない作品ではあるんですが、ただ本作の良いところは「答えがない」という部分に集約されます。主人公はこの先どうなるのか、イジメをしていた連中の先は…?
「あの時」だけが人生じゃない、そんな語り口をも提示した良作といえるでしょう。

<見どころ>
まあ、暗いというか嫌なシーンばかりなんですが、BBSの書込みと映像の組み合わせ、また夜のシーンではあえて俳優達にライトを当てるという独特な撮影が見事にマッチしていました。

<出演者>
蓮見役・市原隼人と星野役・忍成修吾の好演は見事。実に対照的なキャラクターを演じきりました。
特に忍成修吾はうまかったですね。
援助交際をする津田役には蒼井優、清純派のイメージが大きいですが本作での役は現在のありきたりの役柄よりいいですよ。
伊藤歩は大人しめなので、今ひとつな感じ。もう少し前面に出ていても良かったですね。

作品としては確かに強烈なので、良いと思うんですが主人公・蓮見の行動はさすがにダメでした。さすがにありえんだろう…と。
なけなしの勇気があまりにも情けなさ過ぎる。
暗い話が嫌いな人にはまずもってお勧め出来ないですが、作品としての完成度は非常に高いです。

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by syosei7602 | 2007-05-07 23:52 | 恋愛/青春/スポーツ
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