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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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復讐者に憐れみを
復讐者に憐れみを_d0030824_1421568.jpg『SYMPATHY FOR MR. VENGEANCE』 韓国/2002
監督:パク・チャヌク
出演:ソン・ガンホ シン・ハギュン ペ・ドゥナ イム・ジウン
    イ・デヨン チ・デハン




公開時コピー
オールド・ボーイの原点
そして、それを超える戦慄の問題作
その衝撃に言葉を失う―


「オールドボーイ」「親切なクムジャさん」という凄絶な復讐劇を手がけたパク・チャヌク監督の復讐3部作の第1作。
出演は「殺人の追憶」のソン・ガンホ、「ガン&トークス」のシン・ハギュン、「リンダ リンダ リンダ」のペ・ドゥナなど。
ほぼ全編に渡ってサントラが使われていないのが特徴。

<あらすじ>
耳が不自由なリュウ(シン・ハンギュン)は、工場で働きながら腎臓病を抱える姉(イム・ジウン)の面倒を見ていた。唯一の身内である姉の為に、自らの腎臓を移植することに決める。
しかし、血液型が違うことが判明、さらに工場をクビになってしまう。
病状の悪化する姉を救うため、リュウは闇の臓器ディーラーに移植用の腎臓を求めるが、手術費用にとっておいた1千万ウォンを盗られ、さらに自らの腎臓まで抜かれてしまうのだった。
失意にくれるリュウ、間の悪いことに病院からドナーが見つかったとの報せを受ける。
リュウは反政府運動をしているユンミ(ペ・ドゥナ)に相談する。
ユンミは金持ちの子供を誘拐し、お金を貰ったあとにすぐ返してやれば良いと彼を説得し、その標的をリュウをクビにしたドンジン社長(ソン・ガンホ)の娘にするのだった。

<作品解説>
パク・チャヌク監督による復讐劇の第1作です。この作品後にカンヌ受賞作の「オールドボーイ」、女性を主人公にした「親切なクムジャさん」という復讐劇2作が続くわけですが、ストーリー的な繋がりは皆無です。
まず、徹底してサントラを組み込まない作り込みが一番にあげられます。
これは主人公の1人、リュウの耳が不自由であることと、生々しいまでの“音”によって、リュウの耳が聞こえない事を表現するという逆説的な手段がとられています。
これが非常に効果的で、序盤では「いつか驚かすような音が流れるんだろう」という希望を確実に打ち砕いた後に、音楽で誤魔化されてしまう映像表現をリアルに描写します。
一昔前の邦画では、音楽をあまり入れずに情緒的(尚かつ、この手法は邦画の「ダラダラした」悪い面を強調してしまった)にしようとして、映像の美しさにこだわった訳ですが、本作は復讐劇のパク監督、かなりえげつない。
壮絶な復讐が始まると、下手なスプラッター映画より、音楽が無い分だけ“音”が響くわけです。
ある意味「無音」なものを逆手に取った編集と、生々しい描写は同監督の「オールドボーイ」「親切なクムジャさん」よりも秀逸です。
そして、もう1人の主人公となるドンジンは、名優ソン・ガンホによって復讐という世界に魅入られた目と淡々と復讐を実行していく様は圧巻。
全体的に冗長的に感じるかもしれませんが、クライマックスまで惹きつけられます。

<見どころ>
監督独特のカットと、作品全体に流れるジメっとした寂寥感がなんともいえません。
えげつないシーンがいくつも出てきますが、これがクライマックスまできちんと生きてくるのはさすがです。
中盤頃の検死シーンとラストの繋がりは見事でした。
ペ・ドゥナの濡れ場は意外。

<出演者>
ソン・ガンホは本当にうまい。俳優としてのレベルが非常に高く、どれも「濃く」演じますね。
緑色に染めた髪で登場するシン・ハンギュンの、どこか虚構的な雰囲気、終盤に向かっていくうちに鬼気迫る目が印象的。
そしてペ・ドゥナ。
日本では清純派、コメディ方向なイメージが強いですが、本作での切れっぷりは見事。

<総評>
人によっては好き嫌いが分かれる作品です。
ただ、3部作の中では一番の出来ですね。
人の心理を深く描き、復讐が復讐を呼ぶというジレンマを見事に表現しています。
カメラをアウトさせた映像が多いので、大画面がオススメ。

<関連作品>
オールド・ボーイ (復讐3部作・2作目)
親切なクムジャさん (復讐3部作・3作目)

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by syosei7602 | 2007-04-16 23:59 | ハードボイルド/犯罪
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