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『白夜行』 日本/2011
監督:深川栄洋 出演:堀北真希 高良健吾 姜暢雄 緑友利恵 粟田麗 今井悠貴 福本史織 斎藤歩 中村久美 山下容莉枝 宮川一朗太 田中哲司 戸田恵子 船越英一郎 公開時コピー 殺したのは、心。 東野圭吾のベストセラーミステリー小説の映画化。 2006年に放映されたTVドラマ版が好評を博し、2009年に韓国でも映画化されている。 原作の時代考証に沿った撮影により、時代の変遷が見事に再現された。 <あらすじ> 昭和55年、密室となった廃ビルで質屋の店主、桐原洋介(吉満良太)が背中を刺されて殺害される事件が発生する。容疑者として桐原と不仲になっていた妻・弥生子(戸田恵子)とその不倫相手の松浦(田中哲司)、さらに桐原が通い詰めていた浮気相手と思われる西本文代(山下容莉枝)とその交際相手の寺崎(宮川一郎太)の名前が挙がるが、西本と寺崎の事故死によって事件は幕を閉じる。 しかし、所轄の担当刑事、笹垣(船越英一郎)はその終わり方に疑問を感じ、単独で捜査を続ける。 笹垣の心に引っかかっていたのは、桐原の息子、亮司(今井悠貴)と西本の娘、雪穂(福本史織)だった。 それから数年が経ち、雪穂(堀北真希)は美しく成長していた。 品行方正で頭も良く、清楚な雪穂は羨望と憧れの的であると同時に嫉妬もされていた。 そんな彼女の周りでは不可解な事件がいくつも起こるようになるが…。 <総評> 小説が映像化されている売れっ子作家といえば、東野圭吾か伊坂幸太郎かというくらいに、東野作品は毎年何かしら映画かドラマにされています。 そんな東野作品の中でも3度目の映像化となる本作は、原作に忠実にすべく製作されたとのことですが、監督が撮影時に弱冠33歳というのは驚きです。 というのも、物語の始まりが昭和55年、監督が生まれたわずか4年後…言うなれば物語の推移がそのままの形で当てはまるというおもしろさがあります。 さて、物語は昭和55年から始まり19年後まで続きます。 主人公は刑事の笹垣で、心理描写などは主に彼の視点で描かれます。 雪穂や亮司は対象でありながら、その心理は極力廃止されており、彼らを取り巻く人物たちもまた、その心理が深く描かれることはありません。 この手の作品は心理戦みたいなイメージがつきまといますが、逆に心理描写を省くことによって観客はその表面のみで人物を判断していきます。 その視点はまさしく、主人公笹垣そのものであり、淡々と進む物語が深まっていくという不思議な感覚があります。凶悪な事件が絆として描かれる、その切なさがクライマックスに集約される様は見事。 また、時代ひとつひとつが緻密に描かれているのも素晴らしい。 主人公・笹垣を演じた船越英一郎はどちらかというとTVの2時間サスペンスという印象が強いものの、本作で見せる演技力は実力派であることを見せつけてくれます。 堀北真希がいつもの可愛さを封印して、無表情の笑顔で演技…ただ、悪魔的というには少し官能さが物足りないかな。 高良健吾も好演、それ以上に子役の今井悠貴、福本史織も名演でした。 物語全体を見れば、かなり残酷で救いを見いだすことのできない展開が多く、また149分という長尺でも収まりきらない箇所があるのは仕方ありませんが、総じてまとまりのある作品です。 よろしければクリックお願いします。
by syosei7602
| 2011-12-06 01:17
| ミステリ/サスペンス
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