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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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座頭市物語
座頭市物語_d0030824_20584.jpg『座頭市物語』 日本/1962
監督:三隅研次
出演:勝新太郎 万里昌代 島田竜三 三田村元 天知茂
真城千都世 毛利郁子 南道郎 柳永二郎 千葉敏郎
守田学 舟木洋一 市川謹也 尾上栄五郎 山路義人
堀北幸夫 福井隆次


子母沢寛著の随筆集「ふところ手帖」に収録されている同名作品を基に撮られたオリジナルの時代劇。
勝新太郎の代表作となり、全26作品が作られる長寿映画となり、テレビシリーズも制作された。
また、映画作品としては、3度リメイクされている。
監督は「眠狂四郎」「子連れ狼」シリーズを手がけた三隅研次。
出演はシリーズの勝新太郎、「スター毒殺事件」の万里昌代、「大魔神」の島田竜三、「男の世界」の三田村元、「新選組始末記」の天知茂、「江戸へ百七十里」の真城千都世、「四谷怪談 お岩の亡霊」の毛利郁子、「連合艦隊」の南道郎など。

<あらすじ>
座頭市物語_d0030824_201376.jpg盲目ながら居合いの達人である市(勝新太郎)は、下総飯岡のヤクザ・助五郎(柳永二郎)のもとに草鞋を脱いだ。生憎と助五郎は留守だったが、丁半博打の雑魚部屋に通された市は、壺フリをかってでる。
助五郎の子分たちは、市の目が見えないことを良いことに彼を騙そうとするが、逆に騙されて賭け金を巻き上げられてしまう。
市は子分達の態度に見切りを付けて、立ち去ろうとするがちょうど良く助五郎が戻ってきたところだった。
助五郎は、市の居合いの凄さを知っているため、役に立つだろうと考えて長逗留をすすめ、子分の蓼吉(南道郎)に世話をさせることに。
助五郎一家は笹岡の繁蔵(島田竜三)と一触即発の状態にあったのだ。
ある日、溜め池へ釣りに出かけた市はそこで浪人の平手(天知茂)と知り合う。座頭市物語_d0030824_202096.jpg平手は笹岡に雇われた用心棒で労咳を患っていた。
市と平手はお互いにウマが合い友情が芽生えはじめていたが、助五郎一家と繁蔵一家の対立は深まる一方になっていく。


<作品解説>
座頭市といえば勝新太郎、当然のイメージが結びついてしまうほどに長寿シリーズとなった作品です。
本作はその第1作であり、ちょうど勝新太郎が売れ出した時に撮られた時代劇となります。
市は盲目でありながら居合いの達人、飄々としながらもユーモアのあるアウトローなキャラクターです。
監督の三隅研次は、「眠狂四郎」「子連れ狼」といったアウトローな剣豪達を撮り続けた巨匠であり、そのアクション性は現代映画に多大な影響を与えています。
見事な殺陣シーンは、今見ても色あせない気迫を感じますね。
さて、主人公の市は以前に知り合った助五郎のもとにやってきます。彼には特に目的はなく、ただ飯が食えるとかその位の感じでふらりとやってきたわけです。市にとっては、居合抜きが人を斬るための手段というだけでなく、その凄さで飯が食えるという意味があるんですね。
しかし、運悪く助五郎一家は繁蔵一家と出入りをするやしないやで一触即発の状態で、繁蔵一家には江戸から流れてきた凄腕の浪人・平手造酒(ひらてみき)が雇われたばかり。
そして、何の因果か市と平手は酒を酌み交わすほどに友情を得てしまいます。
この手のストーリー、今で言えばハードボイルド、ノワールといったジャンルになるんでしょうか。
とにかく、勝新太郎と天知茂という二大スターの雰囲気が抜群にカッコイイ。
昔の映画にあったものは、カッコじゃなく気迫なんですよね。監督の手腕によって俳優が活きているという感じを受けますね。
本作は現代では放送禁止用語となる差別用語が多数使われていますが、時代劇というジャンルには必要不可欠な要素とも言えます。
今見てしまうと、そういった部分に目が行きがちですが、ちゃんと女房がお歯黒をしていたり、飯屋では横並びに飯を食っていたりと細かい部分の考証がきちんと取られています…もっとも、時代考証の専門家ではないので、聞きかじり程度でわかる範囲ですが、それでも「ちゃんとしているんだな」という面白さがあるのです。

<見どころ>
市の居合いの速さが素晴らしい。
また、市のとぼけた博打シーンは楽しいですね。
クライマックス、平手との一騎打ちは息を飲む瞬間!
余計な長セリフなどなく、対峙する2人の凄腕…渋すぎます。

<出演者>
勝新太郎が若くて男前、さらに凄みがあるなぁ。
北野武や綾瀬はるか、そして香取慎吾まで演じた「市」ですが、やはり誰も敵わない。
座頭市シリーズはその後、勝新太郎のライフワークにもなります。
市に惚れるたねを演じた万里昌代、キレイです。うーん、なぜだろうか、昔の女優は本当に「美しい」と感じてしまう。
そして天知茂。この人は明智小五郎というイメージが強いんですが、やはり時代劇がピッタリといった感じです。本作で演じた平手役はまさにハマリ役。

<総評>
アウトローな主人公達の活躍は、西部劇にも通じますね。
一騎打ちであったり、流れ者であったり…こういう部分は、いつの時代でも普遍的な魅力を持っています。
シリーズは香港映画などにも影響を及ぼしているので、一時代を築いた香港ノワール作品の基は「座頭市」とも言えるでしょう。そんな意味においても実に興味深く、そして傑作と言えます。
時代劇、アクション映画好きは必ず押さえておくべき作品。

<関連作品>
座頭市物語 (第1作)
続・座頭市物語 (第2作)
新・座頭市物語 (第3作)
座頭市兇状旅 (第4作)
座頭市喧嘩旅 (第5作)
座頭市千両首 (第6作)
座頭市あばれ凧 (第7作)
座頭市血笑旅 (第8作)
座頭市関所破り (第9作)
座頭市二段斬り (第10作)
座頭市逆手斬り (第11作)
座頭市地獄旅 (第12作)
座頭市の歌が聞える (第13作)
座頭市海を渡る (第14作)
座頭市鉄火旅 (第15作)
座頭市牢破り (第16作)
座頭市血煙り街道 (第17作)
座頭市果し状 (第18作)
座頭市喧嘩太鼓 (第19作)
座頭市と用心棒 (第20作)
座頭市あばれ火祭り (第21作)
新座頭市 破れ!唐人剣 (第22作)
座頭市御用旅 (第23作)
新座頭市物語 折れた杖 (第24作)
新座頭市物語 笠間の血祭り (第25作)
座頭市 (第26作)

■リメイク・続編
座頭市 (2003)
ICHI (2008・女性版)
座頭市 THE LAST (2010)

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by syosei7602 | 2010-10-02 23:37 | 戦争/歴史/時代劇
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