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『FISH STORY』 日本/2009
監督:中村義洋 出演:伊藤淳史 高良健吾 多部未華子 濱田岳 森山未來 大森南朋 渋川清彦 大川内利充 眞島秀和 江口のりこ 山中崇 波岡一喜 高橋真唯 恩田括 石丸謙二郎 公開時コピー きっと、つながる 人気作家・伊坂幸太郎の同名原作を、同じく伊坂作品である「アヒルと鴨のコインロッカー」を手がけた中村義洋が映像化。 出演は「アマルフィ 女神の報酬」の伊藤淳史、「BANDAGE」の高良健吾、「ルート225」の多部未華子、「ゴールデンスランバー」の濱田岳、「20世紀少年」の森山未來、「笑う警官」の大森南朋、「Life 天国で君に逢えたら」の石丸謙二郎など。 音楽は斉藤和義。 <あらすじ> ・2012年 地球に巨大な彗星が迫り、地球滅亡まであと5時間。 人々が避難し、閑散とした街を、電動車いすで移動する中年の男(石丸謙二郎)がいた。男は、未だに経営しているCDショップを見つける。そこには店長の岡崎(大森南朋)とひとりの客が音楽のマニアックな話をしていた。男は、何故逃げないのかと聞くが、岡崎は正義の味方が地球を救うという話をはじめ、一枚のレコードを出した。それは1975年、パンクブームが到来する1年前に、逆鱗というバンドがリリースしたレコードだった。 ・1982年 気の弱い大学生・雅史(濱田岳)は健太郎(山中崇)と悟(波岡一喜)の2人に、合コンへの運転手をさせられていた。 悟は車中で、アルバムを数枚出しただけで解散したバンド・逆鱗のフィッシュストーリーという音楽について、健太郎に話をする。それは、フィッシュストーリーのギターソロ部分にある無音部分に、ある呪いがかかっているというものだった。 合コンでも話された呪いの話に、参加していた晴子(高橋真唯)が興味を持つ。彼女には予知能力があるというのだ。 ・2009年 修学旅行でフェリーに乗っていた麻美(多部未華子)は、眠り込んでフェリーの取り残されてしまう。 泣きじゃくる麻美に、コック(森山未來)がやってくる。彼は、修学旅行の思い出にと自分の「笑える話」をはじめる。それは、彼が正義の味方になりたかったこと、そして、それは父親の意志であり、幼い頃から修行に明け暮れていたという、突拍子もないものだった。 その直後、フェリーはシージャックされてしまうが、犯人達の前にコックが立ちはだかる。 ・1975年 アマチュアバンド逆鱗は、パンクロックを歌い続けるが全く人気がでない。誰ひとりとして彼らの音楽性を理解できなかったのだ。ある日、クラブの余興で歌っていた時、客からのヤジで喧嘩をしてしまう。 そんな彼らに、音楽プロデューサーの岡崎(大森南朋)が話しかけてくる。 プロデビューした逆鱗だったが、アルバムは鳴かず飛ばずの状態。3枚目のアルバムを最後に契約解除を言い渡されてしまう。リーダーの繁樹(伊藤淳史)は、最後の曲として岡崎が残していったフィッシュストーリーという小説を参考に歌詞を書き上げる。 <作品解説> 伊坂作品の特長といえば、個別の物語がキーワードかアイテム、もしくは人物によって繋がっていくという爽快感にあります。その意外性とおもしろさ、またシュールな世界観は映画向きとも言えます。 本作は「アヒルと鴨のコインロッカー」を見事に映像化した中村義洋監督の手により、なかなか見事な作品となっていました。 それぞれの時代をひとつひとつ丁寧に描き、「逆鱗」というバンドが残した音楽によって、奇妙な繋がりが広がっていきます。4つの時代、それぞれのドラマに割り当てられた役割が繋がっていく様は伊坂作品ならではですね。 さて、物語はいきなり地球滅亡5時間前という、とんでもない展開から始まります。 誰もいないと思われた街、ゴミが散らかり車も電車も飛行機もない…この終末的世界は「28日後...」を彷彿とさせます。しかし、そこには終末と関係なくCDショップを営業している男がいて、「正義の味方」説をぶちあげる。 なんともシュールなのに、そこから物語が過去へと繋がり、世間にはほとんど知られていない、たった1曲の音楽に集約されていきます。 正義の味方というキーワード、早すぎたパンクロック、謎めいた予言、ノストラダムスの終末予言、怪しい新興宗教、そして世間における都市伝説…様々なものが年代ごとの色を出し、それを消化していくのです。 されど、2009年時の説明が若干不足していましたね。 もう少し、人物背景を描けばラストは面白かったかもしれません。 <見どころ> 森山未來演じるコックがやたらと格好いい。 ちょっと驚きました。 1975年の逆鱗によるレコーディングやライブ風景も見事です。 <出演者> 出演者について、不足は無いと言っていいですね。 伊藤淳史や高良健吾による逆鱗のバンドも様になっていました。 意外だったがのが、先に書いた森山未來。 本作一番のアクションシーンですが、レベル高い! 石丸謙二郎の嫌みっぷりは見事に尽きます。 <総評> 総じて良くできている作品です。 映像感覚は個人的に好きだし、なんとなく深夜的なノリがいいですね。 伊坂作品のほとんどが映画化されていますが、比較的映像化しやすいのかもしれません(というのも、心理描写よりも行動描写が多いせいかも)。 もうちょいテンポが良くてもいいかもしれませんが、見て損はしないでしょう。 よろしければクリックお願いします。
by syosei7602
| 2010-03-20 23:59
| ヒューマン/ドラマ
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