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映画紹介 1122本。1日1本(毎日じゃありません)ネタバレは極力無し。TBはご自由にどうぞ。
by syosei7602
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さまよう刃
さまよう刃_d0030824_1363911.jpg『さまよう刃』 日本/2009
監督:益子昌一
出演:寺尾聰 竹野内豊 伊東四朗 長谷川初範 木下ほうか
池内万作 中村有志 岡田亮輔 黒田耕平 佐藤貴広
酒井美紀 山谷初男



公開時コピー
最愛の人が奪われたとき、
あなたはどうしますか?


東野圭吾原作の同名ベストセラー小説の映像化。
残酷な少年犯罪を見据えて描かれた衝撃作。
監督は「むずかしい恋」の益子昌一。
出演は「博士の愛した数式」の寺尾聰、「あの空をおぼえてる」の竹野内豊、「引き出しの中のラブレター」の伊東四朗、「特命係長 只野仁 最後の劇場版」の長谷川初範、「茶の味」の佐藤貴広、「長い長い殺人」の酒井美紀、「どろろ」の山谷初男など。

<あらすじ>
さまよう刃_d0030824_1364785.jpg冬のある日、建築士・長峰(寺尾聰)の一人娘で中学生の絵摩が何者かに拉致され、翌日、遺体となって河川敷で発見された。
妻に先立たれ、娘の成長だけを楽しみにしていた長峰は絶望に打ちひしがれる。
遺体には覚醒剤注射とレイプされた痕があり、警察は目撃情報を元に捜査を進めるが、思うように進展していかない。担当刑事の真野(伊東四朗)と織部(竹野内豊)は、捜査の進展状況を聞いてくる長峰を誤魔化しながら、中井(佐藤貴広)という少年に行き着く。
一方、長峰は捜査状況がわかない苛立ちをどこにもぶつけられぬまま、街をさまようばかり。
ある日、家に帰ると留守電に何者かからのメッセージが入っていた。
「娘はスガノカイジとトモサキアツヤに殺された」…さまよう刃_d0030824_1365510.jpgそのメッセージに疑いを抱きながらも、残されていた住所からトモサキアツヤのアパートを訪れた長峰は、部屋でビデオテープを見つける。
それは絵摩が少年2人に、無惨に暴行されている姿が映っていた。
鬼畜ともいえるその様を見た長峰は、帰宅したトモサキ(黒田耕平)の腹に包丁を突き刺す。


<作品解説>
増え続ける少年犯罪、そして少年法のあり方に疑問を投げかける作品です。
東野圭吾作品の中でもかなり重いテーマを扱っているんですが、未だに読む勇気がありません。
それはさておき、まず全体の感想は「あと少し」という感じ。
見ていて思ったんですが、本作の構成…シナリオの流れが誰かの作品に似ているなぁと。
ついでにサントラが妙に映像センスにぴったりくる。
これはもちろん良いことなんですが、エンドロールを見て納得。音楽は押井作品でお馴染みの川井憲次、映像全体の雰囲気がすごく押井作品に似ているんです。
情景描写の方法、語り口、そして何よりもベテラン刑事と若手刑事の組み合わせ。劇場版「パトレイバー」のそれじゃないか。
さて、ストーリーは殺された娘の仇を衝動的に殺してしまった父親が、もう1人の犯人である少年を追います。未成年ということで、逮捕されても極刑にはならずに更正という道しかない少年。
少年法という立ちはだかる壁をどうにかしたい主人公・長峰は、密告を手がかりにひたすら追い続けていきます。そんな彼を追うのが2人の刑事。
刑事として既に達観している真野は淡々と捜査を進め、若手である織部は警察の正義について考え始めます。人々を守るのではなく、法を守るあり方に疑問を抱く。
これは世間の一般論であり、悪法になりつつある少年法への素直な疑問に他なりません。
視点は刑事と長峰の2つに分かれて描かれますが、今ひとつ乗り切れない。
なぜなら、論点である暴行シーンが冒頭に車で拉致される箇所と撮影されたビデオでしか出てこないからです。さらに長峰と娘のシーンが必要でしょう。個人的には、原作の肝であると思われるこの部分は端折らないで欲しかった。
映像として相当に辛くなるとは思いますが、本作のテーマは未成年の鬼畜な犯罪とその犯人がなぜに法によって守られるか、それをどうすべきか?という部分に集約されるからです。
そこがあってこそ長峰の復讐と織部の苦悩に共感できるんですね。
また、テンポが今ひとつ悪かったのも気になりました。
重いテーマだけに、もっと長くなってもいいので、微細な部分までこだわって欲しかった。

<見どころ>
非常に淡々としているんですが、後半の緊張感は良かったですね。
伊東四朗のいぶし銀な感じがいいです。

<出演者>
悲壮感に漂う役をやらせたら寺尾聰はぴったりです。
どこか頼りなさげな感じながらも、強さを感じさせます。
竹野内豊は可も無し不可も無し。
伊東四朗は前述したように、見事ですね。
ところで、娘役と終盤に出てくる売春女性はどうやらセクシー女優を使ったみたいです。シーンが短いし、役柄のイメージとしては悪いんだろうけど、なんだかなぁ。

<総評>
ここの役柄はハッキリしているんですが、どうにもばらついた印象を拭えません。
「容疑者Xの献身」が良かっただけに、勿体ないというべきか。
全編通して暗いので、見るには結構気合いがいるかもしれません。

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by syosei7602 | 2009-10-10 23:59 | ハードボイルド/犯罪
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